kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

左派・リベラルに属すると目される錚々たる面々が、先祖がえりをしたようにアメリカ帝国主義論を引きずり、ロシアの侵略を糾弾する視点を失って相対化し、あるいはウクライナを非難し、ロシアを擁護する論を張ったりしている(深草徹氏)

 今日で早くも2023年の前半が事実上終わるが(正確には明後日の正午が折り返し点)、私が普段目にすることが多いリベラルまたは左派の論調に大きな変化のうねりが起き、近い将来に勢力分布が大きく変わることを予感させる。問題は、それが良い方向の変化であれば良いのだが、山本太郎にみられるような右派ポピュリズム的な、私に言わせれば悪い方向への変化になりかねないことだ。

 醍醐聰氏のツイートより。

 

 

 深草氏のブログ記事を以下引用する。

 

tofuka01.blog.fc2.com

 

 戦後、わが国の左派・リベラルの平和運動は、憲法9条の非軍事平和主義とアメリカを戦争と反動の根源をアメリカとするアメリカ帝国主義論を車の両輪として展開されてきたと思います。

 

 しかし、第一にかつて国民の多くを捉えていた憲法9条の非軍事平和主義は、たとえば2019年に内閣府が実施した世論調査に表れた「(自衛隊を)増強した方がよい 29.1%、今の程度でよい 60.1% 、縮小した方がよい 4.5%」という数字に見られるように、自衛隊違憲・縮小もしくは廃止を志向する人が圧倒的に少なくなり、今の程度の規模・能力の自衛隊を保持すべしと考える人が圧倒的に多くなっています。これを、国民が愚かで、政府・防衛省自衛隊、あるいは自民党その他の勢力に取り込まれたてしまったからだとは言うのは間違いで、せっかくの武力行使禁止原則、主権と領土の一体性、現状不変更、国連中心主義を定める国際法準則が完全に蔑ろにされている現在の国際社会のありようを考えれば、これはむしろ当然のことと言うべきでしょう。この点について、私は次のように考えます。

 

 これまでの左派・リベラルの平和運動は、反戦・平和の主観的願望がからまわりし、個別国家が武力を持たないでもよい国際社会をどのように構築するかという視点、展望を語らずじまいだったように思います。そのもっとも典型的な表れは、ウクライナ侵略戦争に関して、とにかく戦争はよくない、即時停戦するべきだという主張です。これでは、仮に停戦にこぎつけたとしても、上記の国際法準則は蹂躙されたままであり、侵略と民間人の無差別殺戮が不問に付されたも同然です。こんな主張をしていては武力を持たないという非軍事平和主義は支持されないでしょう。

 

 このことは第二のアメリカ帝国主義論にも関連してきます。私は、第二次世界大戦後の冷戦の歴史を多少は勉強してみましたが、それによると、政治的対立の激化を背景として、当初アメリカはソ連の政治的封じ込めを図ろうとしました。それは異なる体制の平和共存と必ずしも矛盾するものではありませんでした。やがて世界で最初に核兵器を手にしており圧倒的軍事力優位に立っていたアメリカは、ソ連の軍事的封じ込め、共産主義体制の打倒へと転換し、各国の革命運動に干渉し、共産主義へと向かう、もしくは容共的な政権の転覆活動を企てました。ですからアメリカ帝国主義論には根拠があり、現実的でもありました。

 

 しかし、核武装したソ連の圧倒的軍事力をバックにしたハンガリーチェコなど域内諸国への侵略、域外のアフガニスタンへの侵略、中国の核武装と軍事大国化・ベトナムへの武力侵攻、中ソ戦争などを経て、次第にソ連・中国も戦争と反動をもたらす元凶の一つあることが浮かび上がり、とりわけ1991年のソ連崩壊後は、もはやアメリカ帝国主義論は平和運動の拠り所とはなしえなくなりました。かわって浮上したのが武力行使禁止原則、主権と領土の一体性、現状不変更、国連中心主義を定める国際法準則です。私たちはベトナム戦争では、アメリカ帝国主義の侵略を糾弾しましたが、イラクアフガニスタンへの侵略では、アメリカ帝国主義糾弾ではなく、国際法違反と非人道行為を糾弾しましたが、それはそのことを物語っていると思います。

 

 ウクライナ侵略戦争では、左派・リベラルに属すると目される錚々たる面々が、先祖がえりをしたようにアメリカ帝国主義論を引きずり、ロシアの侵略を糾弾する視点を失って相対化し、あるいはウクライナを非難し、ロシアを擁護する論を張ったりし、それをもって憲法9条の非軍事平和主義の帰するところだと吹聴するに至っています。雀百まで踊り忘れずと言いますが、ここに、左派・リベラルの平和運動の限界が露呈されたと言ってよいでしょう。

 

 私たちは、これらの国際法準則にさらに核兵器全面禁止条約を加え、正義と秩序を基調とする国際平和の確立という課題を片時も忘れてはなりません。(了)

 

URL: http://tofuka01.blog.fc2.com/blog-entry-1335.html

 

 引用者赤字ボールドにした部分がウクライナ戦争で露呈した旧来のリベラル・左派の問題点の部分だ。

 私が読者の注意を喚起したいのは、このような弊害を代表する政治家及び政治勢力が、山本太郎及び彼が代表を務める×××新選組(弊ブログは現元号を使用禁止ワードに定めているので平仮名3文字を伏せ字にする)だということだ。新選組が国会のロシア非難決議に唯一反対票を投じた国政政党であることは周知だ。

 さっきも宮武嶺氏のブログ記事*1を見ていたら、旧来左翼の弊害を代表するようなベテランブロガー氏の陰謀論的コメントが載っていたが、私には彼らはアメリカという超大国の衰退を認めることができない、あるいは認めたくない気分があるのではないだろうかと強く疑う。だから強大な敵である「米帝」の陰謀論に走りたがるのではないだろうか。

 山本太郎新選組にはいくつかの特徴があり、内政問題では下層中産階級の心に響くような主張もあるのだろうと思うが*2、こと外交・安全保障問題では旧来左翼からはみ出た新左翼のニーズを強く反映させた主張が目立つ。ウクライナ戦争でのひどいロシアびいきはその典型例だ。なお新選組は経済政策では反グローバリズム的な民族主義系右翼層にも相当程度食い込んでいるから厄介だ。反ネオリベだからといって不用意に手を組もうとすると痛い目に遭う危険がある。以上の理由から、弊ブログは山本と新選組を主要な敵の一つであると認定して攻撃し続けている。

 共産党はどうやら田村智子氏を参院から衆院比例東京ブロックの1位に転身させ、志位和夫小池晃が影響力を及ぼし続ける体制に転換しようとしているように思われるが、その過程で「130%の党づくり」などという絶対に実現不可能な目標を掲げて党員に多大な負担を強いている。おそらくこの目標が達成できなかったことを理由に志位・小池氏らが勇退し、それにもかかわらず影響力だけは行使し続けようという腹づもりなのではないかと邪推するが、これは立民の泉健太が昨年の参院選の敗因を「提案型野党」の路線にあったとする党の総括を受け入れながら代表に居座り続け、幹事長をリベラル派中堅の西村智奈美から保守派長老の岡田克也にすげ替えたことと鏡像関係にあると私は見ている。前にも書いた通り、立民の幹事長交代は西村氏の力量不足のためだったとの見解を示した泉の支持者のコメントもいただいているが、立民は党として参院選の敗因が提案型路線にあったという総括をしたのであって、その間違った路線を牽引したのはリベラル派の西村氏ではなく保守派の泉自身だったことは明白なので、幹事長交代劇は泉の保身が目的だったとみるほかない。

 泉健太の右バネに対して志位和夫小池晃の旧来路線への固執と、主義主張や思想信条の方向性は正反対にも見えるが、両者に共通するのは保身あるいは組織防衛の強い衝動だ。これでは両党ともに支持を失って、有権者の票が山本太郎新選組という私にとっては非常に望ましくない政党へと流れてしまうことは避けられない。

 話を共産党に戻すと、田村氏で思い出されるのは小池晃が加害者、田村氏自身が被害者となった昨年のパワハラ騒動とともに、ウクライナへの防弾チョッキ供与の是非を巡る一件での見解の揺れだ(2022年3月)。以下読売新聞オンラインの記事を引用する。

 

www.yomiuri.co.jp

 

ウクライナに防弾チョッキ、共産・田村氏「反対しない」を撤回…「党内で相談せず発言」

2022/03/05 20:40

 

 共産党の田村智子政策委員長は5日、国会内で急きょ記者会見を開き、防弾チョッキなどの防衛装備品の対ウクライナ供与に反対しないとした自身の4日の発言を撤回した。

 

 田村氏は4日の記者会見で、政府による防弾チョッキなどの供与について見解を問われ、「この場で反対と表明することは考えていない」と答えた。5日の記者会見では、この発言について「党内で相談しないで行った」と釈明し、「防弾チョッキであっても、防衛装備品の供与は我が党が反対してきた武器輸出にあたる。我が党として賛成できない」と述べた。

 

(読売新聞オンラインより)

 

URL: https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220305-OYT1T50211/

 

 この件は、田村氏自身は武器といえども殺傷能力を持たない、自らの身を守るための道具である防弾チョッキなら供与しても良いだろうと思って発言したところ、訓詁の悪弊にとらわれた志位和夫あるいは小池晃のお叱りを受けてコメントを改めたものに相違ない。私が買うのは見解を変える前の田村氏の自然な反応の方だ。

 そういえば山本太郎が護身のために特殊警棒を所持していることを認めた一件が話題になったが、特殊警棒は防弾チョッキと違って強い攻撃能力を有する。いかにもスーパーマッチョ人間である山本太郎が持ちそうな武器だが、問題といえば山本の方がよほど問題だろう。

 現在は山本にせよ志位・小池にせよ泉にせよ暑苦しい人たちばかりで本当にうんざりするが、少し前にも書いた通り、立民が西村智奈美、共産が田村智子にトップが変われば、国会で「ダイブ」をやって特殊警棒を持ち歩く山本太郎の異常性が際立ち、彼に違和感を持つ人たちがふえるのではないだろうか。政治家は支持者の意向に反することはできないものでもある。ここはもう(本当はあまり好ましくないのだが)なし崩し式でもかまわないから共産も立民も変わってもらわなければ困ると思うようになった。

 ただ、そうなる前に断末魔の泉健太あるいは志位和夫小池晃らがそれぞれ党の再起が困難になるほどのダメージを与えてしまうのではないか。それが懸念される。

*1:https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/409f4bc21d0f3332bae26890946fdd2c

*2:だからこそ中央線沿線において自民や立民などがカバーできない層からの支持を多く得ているのだと思う。私が住む東京東部では新選組が通用しているとはいえないが。