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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「総理になりたい」野心の果てに…柿沢未途容疑者 「この選挙で勝てば」と、はやる思いの「優等生」に起きたこと(東京新聞)

 いくつかのメディアが予告していた通り、自民党を離党していた衆院議員・柿沢未途が逮捕された。その柿沢について東京新聞が書いた記事を以下に引用する。

 

www.tokyo-np.co.jp

 

「総理になりたい」野心の果てに…柿沢未途容疑者 「この選挙で勝てば」と、はやる思いの「優等生」に起きたこと

2023年12月28日 21時41分

 

 「総理になりたい。自らが考える政策をこの手で実行したい」。そう野心をのぞかせていた衆院議員が28日、4月の東京・江東区長選を巡り、区議らへの買収の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。地元選出の柿沢未途容疑者(52)は、9月に岸田内閣で法務副大臣に就任するなど地歩を固めていた。その政治家に何があったのか―。(井上真典、中山岳)

 

◆自民候補者と争い続けた野党時代

 

 「ジャーナリストは伝えるだけで直接何もできない。政治家は、直接的に行政に働きかけられる」。柿沢容疑者は2020年の自著「柿沢未途の日本再生」で、NHKの記者時代を振り返り、原動力をそうつづった。「国会質問回数ナンバーワン議員」とも称した。

 

 柿沢容疑者について、高校生当時から知る元自民区議は「優等生で学級委員長タイプ」と評する。NHK退職後、江東区などを地盤とした元外相の父弘治氏の秘書を経て、無所属で都議に初当選。その後、民主党(当時)入りし、2期目の08年に飲酒事故で辞職したが、翌年、みんなの党から衆院選に出馬し初当選。結いの党や維新の党など複数の党を渡り歩き、自民候補者と争い続けてきた。

 

◆「パフォーマンスもうまい」支援根強く

 

 ある区民は「未途さんは催しに小まめに顔を出し、パフォーマンスもうまい。政党が変わっても『未途は未途』と応援を続ける支援者は少なくない」と話す。

 

 転機は21年の衆院選。前回選挙で自民党公認だった秋元司・元衆院議員(52)が収賄事件で実刑判決を受け控訴したが、出馬を断念。代わりに党選対幹部の後押しを受けて推薦を取り付け、当時の山崎孝明区長=4月死去=や長男で都議の一輝氏(51)ら党都連が応援した候補者との対決を制した。

 

◆「地元で認知されるには自民区議との関係が課題だった」

 

 しかし、長年戦ってきた党都連とは遺恨が残り、次期衆院選で党公認候補となる選挙区支部長就任は、今年7月まで見送られた。

 事件の舞台となった4月の区長選も、自民党衆院議員の木村弥生氏(58)と、自民が推薦する一輝氏との「自民分裂」の激戦となり、柿沢容疑者が支援した木村氏が初当選した。

 

 逮捕容疑とされた区議らへの現金提供について、柿沢容疑者は逮捕前に後援会宛ての文書で「地元で認知され、受け入れられるには、自民区議との関係形成が課題だった。区議選の陣中見舞いで、買収の意図はない」と反論している。

 

◆「支部長にならなければ、党からのお金が使えない」

 

 木村陣営のある選対関係者は、柿沢容疑者から「この選挙で木村さんが勝てば、萩生田(光一都連会長)さんも、自分を認めざるを得ない」という趣旨の話を聞いたと明かす。現金配布には、自らの支部長就任に反対する一輝氏らの勢いを弱め、就任にめどをつける狙いがあったとの見方だ。

 

 柿沢容疑者の秘書の一人は逮捕前、本紙の取材に「支部長にならなければ、党からのお金が使えない」と語った。支部長になれば、党本部から年1200万円超が交付される。先の選対関係者は「木村さんを勝たせるために区議らに現金を配っても、十分余りある」と推察する。

 

 買収の意図を否定し続けた末の逮捕。元区議は語る。「国会議員の親分が、子分の地方議員に陣中見舞いとして金をまくのは昔から当たり前にやってきた。最近は陣中見舞いと買収の境目が、買収の方に振れてきている。関係も見直していかなければいけない」

 

東京新聞より)

 

URL: https://www.tokyo-np.co.jp/article/298783

 

 なかなか興味深い記事だ。

 柿沢が「催しに小まめに顔を出」す人間であることは事実だ。たとえば6年前の年末に女性の宮司が刺殺された事件が起きた富岡八幡宮で毎年節分の日に行われる豆まきにも来ていた。2021年と22年はコロナの影響で有名人を呼んでの豆まきをやっておらず、人数を限定して今年はやったらしいが既に自民党議員になっていた柿沢が来たとの情報はない。しかし野党時代には毎年来ていたはずだ。弊ブログに書いた記憶はないが、某所によく「豆まきに行って柿沢に豆をぶつけてやりたい」と書いた覚えがある。たとえば2020年に宿敵だった故山崎孝明元区長らと一種に柿沢が豆まきをしていた画像が下記ブログ記事に掲載されている。

 

hamatravel.com

 

 そんなまめな人間である柿沢は、野党時代には街宣も熱心だった。通勤の途上でよく出会したものだ。秋元司の街宣には、秋元の議員時代には遭遇したことがなかった(その後再起を目指す秋元の街宣に遭遇した)。しかし柿沢も、一昨年の衆院選で当選して自民党入りしたあとは街宣に遭遇したことはない。

 東京新聞の記事の後半、選挙区で当選した衆院議員でありながら東京15区の支部長になかなかしてもらえなかったせいで自民党の金を使えなかったとの話は非常に興味深い。

 このことから容易にわかるのは、人事権と金の使い途こそが権力行使の要諦であり、しかもその両者の間には切っても切れない関係があることだ。自民党東京都連会長の萩生田光一がなかなか柿沢を支部長にしなかったことが区長選で柿沢に金を配らせた強い動機になった。しかも対立陣営の山崎元区長のドラ息子・山崎一輝は柿沢の支部長就任に強く反対していた。今回の柿沢逮捕も、匿名の人物からの垂れ込みが捜査のきっかけになったらしいが、垂れ込んだ人物はほぼ間違いなく山崎陣営の人間だろう。

 支部長の件で連想されるのは、立民もまた東京15区の総支部長を未だに決めていないことだ。この件に関して前回の衆院選で東京15区から立候補して落選した井戸まさえ氏が現Xで党を批判した経緯が影響しているのか、それとも井戸氏ではなくもっと「希望の党」的な人物を候補に据えようとしているのかはさだかではないが、今日も立民のサイトで総支部長のリストを見たところ、相変わらず東京都は大阪府ともども総支部長の決定が極めて遅い。これは一昨年の立民代表選で早期の支部長任命を公約したという泉健太の公約不履行にほかならないと私はみなしている。

 自民党でも岸田文雄が好きなのは「人事」だとのことだが、いつも書く通り、人物の類型として岸田文雄泉健太とは酷似している。あるいは同じ類型に共産党志位和夫を加えても良いかもしれない。彼らに共通するのは、この国の政治や社会をどうしたいのかという理念そっちのけで、内向きの権力工作ばかりにかまける傾向が強いことだ。だから維新だの元号新選組だのといったポピュリズム政党の伸長を許すのである。

 東京15区についていえば、柿沢未途議員辞職はおそらくないだろう。2019年の年末に逮捕された秋元司も議員辞職はしなかった。ましてや前述の通り「まめな」柿沢はかつての旧新潟3区田中角栄同様、逮捕されて無所属で立候補しても当選する可能性があると思われる。仮に議員辞職して補選にでもなれば、自民党が柿沢の宿敵である山崎一輝を公認候補に立ててくる可能性があり、先般行われた市長選を見る限り、公明党都ファもそれに乗っかるだろうから一輝が当選してしまう可能性が高い。それは柿沢にとっては絶対に避けたいはずの状況だ。だからどんなに指弾されようが柿沢が議員辞職するとは私には思えない、というより私が柿沢だったら絶対に辞職しない。自分は無実だと強く訴えて開き直る。

 それに刺激されて、いっそのこと秋元司も次の衆院選に立候補し、柿沢、秋元、一輝の三つ巴にでもなれば良いと思う。そうなれば野党にもチャンスが出てくる。そもそも柿沢の支部長就任をこの夏まで阻んでいた萩生田も、自らが属する安倍派の裏金問題を抱えている。年明けには何人かの安倍派議員が逮捕される可能性が高いと思うが、萩生田やあの「いかがわしい西村康稔」にまでは累は及ばないのではないかといわれている。しかし私が絶対に挙げてほしいと思うのは、この萩生田と西村の2人だ。西村の「架空政治資金パーティー」など本当に悪質であり、あれは西村が経産省から金を巻き上げているに等しい。統一教会問題も抱える安倍派は来年以降も徹底的に糾弾されて壊滅に追い込まれなければならない。安倍晋三とその一派ほど、近年の日本をダメにした人間及び集団はない。

 しかしながらも、いまだに立民が東京15区の総支部長を決めていないことは本当に大問題だ。現状では、先の区長選では自公と都ファとの野合で意気消沈したことを区民に見透かされて供託金没収の大大大惨敗に終わった維新の候補に、一転して当選の目が出かねない。

 そのように、何が起きても不思議ではないくらい流動的な政局になっている。そんなご時世なのに「ホップ、ステップ、ジャンプで5年後の政権交代を目指す」などと悠長なことを言ったり、何かというと維新と共闘したりしたがる泉健太は有害無益なリーダーだとしか言いようがない。