ここらで、朝日新聞の紙媒体読者時代に紙面でお目にかかった記憶が全くない鮫某(この人は相当に右寄りだと私は思うぞ)が「本命」と決めてかかっている野田佳彦を批判するXを紹介しておく。
昨日の深層NEWSで野田さんが「議員定数削減」や「身を切る改革」という言葉を使ってたけど、個人的には「そういう事じゃないんだよなあ・・・」感が強い。
— ナマステ大臣(おじさん・おばさん代表) (@nama_sute1234) 2024年8月30日
野ダメ(野田佳彦)はまだそんな時代錯誤的なことを言っているのかと呆れたが、そういえば2021年衆院選の時のテレビの党首討論で、当時維新代表だった松井一郎が「まだカイカクが足りない」などと20年前の小泉純一郎とそっくり同じことを言っていることに呆れたことを思い出した。
その時には、そんなアナクロな主張の政党があんな躍進を遂げるとは悪夢にも思わなかった。しかし維新は大躍進した。
それと同じように、上記のような訴えがいまだに「響く」立民支持層が相当の割合でいるのだろうと思う。毎日や読売の世論調査で立民支持層のうち枝野幸男を挙げる人と野田佳彦を挙げる人が拮抗していることがその推測を裏づける。それに野田を挙げた人と同様の志向を持つ人たちの中には、野田ではなく泉健太の名前を挙げた人もそれなりにいるから、両方を足すと「カイカク」志向が今なお相当に強いとみるべきだろう。
周回遅れって感じですよね。
— らんらん (@Me5Z62eIbPw1CsG) 2024年8月31日
昔の顔って揶揄されてるけど、政策も古びてるんじゃないのか?政策発表を注目。
そうなんですよね。
— ナマステ大臣(おじさん・おばさん代表) (@nama_sute1234) 2024年8月31日
旧民主党系の流れをそのまま引きずってるかな?と感じますが、まずは政策発表に注目ですね。
もっとも、こんなことを書いて野田を批判しているこのアカの人も、プロフィールを見ると「推しの政治家は泉健太です」などと書いている。この人は2022年に泉が発した「『維新八策』に大部分協調できる」という妄言はなんとも思わないのだろうか。
またskksというXアカの野田批判のスレッドにも注目した。
自分は野田佳彦という人間はそこまで嫌いではないけれど、しかし野田佳彦で選挙に勝てるはずもないとは思う。前回選挙に負けた争点の一つが消費税増税だけど、消費税増税というのは選挙に絶対勝てる政党が自分の支持を減らしてでも通しに行くかどうかというカードであって
— skks (@skks1028) 2024年8月31日
まあ野田佳彦に同情すべき点があるとするなら消費税増税がなくても当時の民主党は選挙に勝てなかったとは思う。震災に及んで安倍晋三がデマをまき散らしてもそれがまかり通ったのが典型だけど勝てる選挙ではなかったし、勝てない選挙だから消費税増税というカードも下げなかったんだろうけど
— skks (@skks1028) 2024年8月31日
まあそもそも消費税増税は自民党が出したカードなので、野田佳彦が負けて安倍晋三に政権が変わったところでカードを出した自民党が下げるわけもなく、自民党~安倍晋三は野田佳彦様様だったよね
— skks (@skks1028) 2024年8月31日
私は野田佳彦という人は菅直人と小沢一郎の2人が党を二分する権力闘争をやったあげくに、菅が一定の時期を過ぎたら退任するという言質を差し出してまで闘争を収束させた結果生まれた政権だったから、もっと早い段階で(もっとも好ましくは2011年末、遅くとも2012年前半には)民意を問うべく衆議院を解散するのが筋だったと考えている(いささか後知恵かもしれないが)。それをやっておけば2012年末から始まって現在まで続いている「自民一強時代」にはならなかった。だから2012年末の解散自体が悪いとは思わないが、政権に固執し過ぎたとは思っており、だから「維新が野党第一党になるのを防いだ」などと野田を肯定的に評価する気には全くならない。野田は2008年の麻生太郎就任早々の解散を阻止した自民党の森喜朗らと同じ誤りを犯したと考えている。
上記skks氏のその他のライムラインを見ていると、氏自身のXよりも氏のリポストを含む田川滋氏のスレッドに共感するところ大だった。ポストは、朝日に載った星野智幸氏の文章に「コメントプラス」をつけた能條桃子氏のポストへの反応から始まる。
読みました。
— 田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 (@kakitama) 2024年8月27日
「法の支配(立憲主義)」への理解なく他人の「正義」「リベラル」「民主主義」を論ずる一人相撲をまた読まされた、と言う感想。
正義(justice、公正)が暴走するとか依存するとか思っているのは、現代社会ではそれが「法」になっている事を理解していないから。 https://t.co/octIVFM7K7
20世紀後半からの”戦後レジーム”世界では、リベラルな価値観に基づく法(最高法規の憲法、国連憲章、国際条約など。法律はその下位にあり憲法への適合を求められる)が基本的人権や民主主義選挙を保障している。
— 田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 (@kakitama) 2024年8月27日
社会を構成する個人が等しく「法の支配を奉ずる」ことで、法の支配は実現する。
”「法の支配」とは、統治されるものだけでなく統治する側もまた、より高次の法によって拘束されなければならないという考え方である(≒立憲主義)。大陸法的な法治主義とは異なり、法の支配では法律をもってしても犯しえない権利があり、これを自然法や憲法などが規定していると考える。” Wikipedia pic.twitter.com/POlEwCa16L
— 田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 (@kakitama) 2024年8月27日
”「法の支配」とは、全ての権力に対する法の優越を認める考え方であり、国内において公正で公平な社会に不可欠な基礎であると同時に、友好的で平等な国家間関係から成る国際秩序の基盤となっている。
— 田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 (@kakitama) 2024年8月27日
外交青書 2019 | 6 国際社会における法の支配 | 外務省”
戦後日本人は民主主義を「貰って」、しかしその両輪または土台・大枠となる「立憲主義(法の支配)」の方を忘れた。よく言われること。
— 田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 (@kakitama) 2024年8月27日
正義の無限の相対化の隘路と思考停止、正義フォビアに陥るのもそのためだろう。
そして権力による憲法秩序の破壊を目にしても「無感覚・寛容」になる。
自由な「学者」「思想家」「文筆者」は、自分たちが”法に支配”されており、"法の支配を奉じ"なければならない、なんて考えは不愉快かも知れないが、それが社会の基本的約束。
— 田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 (@kakitama) 2024年8月27日
これは義務教育の教科書にも書いてある事なので、作家がそれを言っても書いても創造性独自性ゼロで、商売にはならないが。
確かに「法の支配」と「法治主義」の違いは中学校だったか高校だったかで習った。いちおう覚えこんだ(つもりだった)が正直言って理解していたとは言い難い。また理解できた生徒もほとんどいなかったのではないか。私は理系だったのでこの件について論述させられる心配はなかったからそれ以上知識を深めることなく、2015年に立憲主義が話題になってやっと改めて勉強し直した。
星野智幸氏の文章では政党支持者の”カルト性”にも触れているが、「立憲主義なき民主主義」と並ぶ戦後日本的な誤解は「政党が民主政治の基本」とする”集団主義”だろう。あくまで基本は「議員」と言う個人。政党は憲法にも規定のない、私的都合で集合離散する私的結社に過ぎず、その結社の自由を持つ。
— 田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 (@kakitama) 2024年8月27日
そう、「あくまで基本は『議員』という個人」なんだよ。
— 田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 (@kakitama) 2024年8月27日
《ではどうするか。そこがまだよく分からない、というのが、正直なところだ。》
— 朝日新聞那覇総局 (@asahi_okinawa) 2024年8月27日
江川紹子さん(@amneris84)の #コメントプラス 朝日新聞デジタル
【視点】 似たようなことを考え、思い悩む人に出会ったようで、親近感を覚えながら読んだ。
私が最初に、社会のカルトをhttps://t.co/FwNG6inei8
これに対して田川氏は書く。
一言で済むと思いますよ。「法の支配を奉ぜよ」。 朝日始めマスコミの”政治部”も、政治を報道する時それを律するはずの「立憲主義=法の支配」について理解しているか、はなはだ怪しく思える事が多々あるが。 そう言う報道姿勢がまた、日本国民の「法の支配」への無理解を広めていく。
なるほど、星野智幸も江川紹子も朝日新聞政治部も「立憲主義≒法の支配」がわかっていないと。
https://t.co/4IKijeU1Hp
— 田川 滋 TAGAWA Shigeru 타가와 시게루 (@kakitama) 2024年8月27日
”…人間は,「善さ」以上に「正しさ」の問題と格闘する中で,少しずつ賢明になったと言ってもよいように思われる.権利や法治社会は,正義の実現として追求され結実した人類の成果である.その意味で人間の歴史は,正義とは何かという問いに答えようとしてきた歴史でもある”
立憲民主党は党名にほかならぬ「立憲」の2文字を冠している以上、党の統治にも立憲主義を導入すべきだというのがこのところの弊ブログの大きな主張の一つになっている。
その観点から、主要3候補の中で一番それに近づける可能性のある人を選ぶとなると、やはり枝野幸男になるのではないか。この観点からは泉健太は論外だし、野田佳彦も本当の子飼いである手塚仁雄を制御できていないことからも明らかな通り全然ダメだ。
そして、枝野の尻を叩く意味でも、是非とも吉田晴美には推薦人を集め切って代表選に立候補してもらいたい。