結局自民党とNHK党だか無所属議員だかとの統一会派は、N党側からの申し入れで解消になったようだ。
自民党側から、というより高市早苗側から統一会派を解消できなかったことが今の自民党執行部の性格をよく表している。
この件は高市政権の今後に暗い影を落とすだろう。
ここでまたまた葛飾区議選の話をするが、時事通信が選挙結果について記事を出した。
以下引用する。
自公連立解消、一定の効果 東京・葛飾区議選から【解説委員室から】
高橋正光
2025年11月11日18時00分
9日に投開票された東京都葛飾区議選(定数40)で、自民、公明両党は前回2021年と比べ、得票数、率ともに減少した。ただ、7月の参院選(葛飾区での比例票)と比べ、両党ともに得票を増やしており、自民党は保守を掲げる高市早苗政権の発足、公明党は連立政権からの離脱、それぞれの効果が一定程度あったようだ。(時事通信解説委員長・高橋正光)
自民得票、参院選からアップ
自民、公明両党は「政治とカネ」の問題をめぐり、26年間続いた連立・連携を10月に解消。自民党は日本維新の会と、新たに連立政権を樹立した。発足直後の報道各社の世論調査で、高市内閣の支持率は70%前後の高水準を記録。こうした状況下、高市首相の就任や公明党の連立離脱が、有権者の投票行動にどういう影響を与えるのかを占う意味で、葛飾区議選が注目された。
同区議選には65人が立候補し、投票率は40.35%で、前回(44.03%)より減少。自民党は17人を擁立したが、当選は前回比で2人減の10人にとどまり、7人が落選。得票数(約4万1200票)、得票率(26.96%)ともに、前回(約4万5400票、27.44%)を下回った。
ただ、昨年10月の衆院選(葛飾区の投票率は52.19%)、今年7月の参院選(同58.20%)での自民党の葛飾区での比例票を見ると、それぞれ約4万5500、約3万9400。参院選と比べ、得票を増やした。区議選の投票率が衆参選挙より低かったことも考慮すれば、高市政権発足により、逆風が和らいだようだ。
区議選で落選した7人のうち、2人は次点と次々点。候補者を絞っていれば、改選の12議席を維持した可能性が高い。もっとも、岸田文雄政権下で行われた22年の参院選(同52.58%)で自民党は、約6万1400票獲得している。当時ほどには、党勢が回復していないことがうかがえる。
公明は衆院選も上回る
公明党は前回区議選に9人を擁立し、1人が落選。今回は、改選と同数の8人に候補者を絞った。結果は、全員が当選し、得票数は約2万3200票、得票率は15.15%に達したが、自民党と同様、得票数、率ともに前回(約2万6900票、16.25%)に届かなかった。
また、公明党の葛飾区での比例票は、7月の参院選が約2万1800、昨年の衆院選が約2万2800で、区議選がいずれも上回った。22年参院選(約2万5600票)には及ばなかったものの、投票率の差を考えると、同水準の得票と言えよう。
葛飾区は、山口那津男元代表の地元。山口氏は先の参院選で引退して以降も、区議選候補の応援で連日、区内を回った。連立離脱で支持母体の創価学会の組織が引き締まったことと合わせて、得票増につながったようで、集票力を見せつけた。
次期衆院選、1万7000票の行方は?
東京都選挙管理員会によると、先の参院選で公明党が都内で獲得した比例票は、約53万6000。東京には衆院選の小選挙区が30あり、単純計算で1選挙区当たりの公明・学会票は、1万7800程度になる。
公明党はこれまでの衆院選で、比例で協力を得る見返りに、候補者を立てない小選挙区で自民党候補を推薦する形で、選挙協力を行ってきた。東京でも一部の例外(例えば、葛飾区が選挙区の17区では推薦していない)を除き同様だった。しかし、連立離脱に伴い、協力を解消した。
さらに、公明党は、自民、維新の連立合意に、比例を念頭に「衆院定数(465)の一割削減」が盛り込まれたことに、「民主主義の破壊」(斉藤鉄夫代表)などと激しく反発。同党幹部は次期衆院選で、「人物本位」を基準に、立憲民主党や国民民主党の候補を支援する可能性に言及している。
前回衆院選での東京の小選挙区で、自民系候補は13勝16敗(一つは公明が擁立)。小選挙区で敗れた5人が比例で復活当選した。もし、公明党が各選挙区で、自民党の対立候補の支援に回れば、影響は計り知れないだろう。
葛飾区議選の結果、自民党にとって「高市効果」が裏付けられたことはプラスだが、公明党にも「離脱効果」が現れたことは、脅威に違いない。(2025年11月11日掲載)
高橋正光(解説委員長)
1986年4月時事通信社入社。政治部首相番、自民党小渕派担当、梶山静六官房長官番、公明党担当、外務省、与党、首相官邸各クラブキャップ、政治部次長、政治部長、編集局長などを経て、2021年6月から現職。公明党担当として、連立政権の発足を取材。
(時事通信より)
やはり自民党は2021年の区議選よりも得票数、得票率とも減らしていた。そこに前回14人しか立てなかった候補(2人落選)を17人も立てたのだから大量落選も当然だった。
公明党に関して留意すべきは、既に岸田政権時代に自公連立への嫌気が公明支持層の間で高まっていたとみられることだ。
今回は高市政権になったから連立を離れただけで、次にたとえば林芳正あたりが後継総理になれば連立に戻るだろうとの観測が一部にあるようだが、そのようにはならないと私は断言する。
その最大の理由は自民党が既に政権担当能力を失っていることだ。公明党が連立に復帰しても、公明党にとっては百害あって一利なしである。
もっとも今突然高市政権が倒れて林政権にでもなれば話は別だが。現在はまだ26年に及んだ連立時代の惰性力が強く働いている。
しかしその惰性力も、高市内閣が続けば続くほど弱まっていく。
イギリスで発足初期に政権基盤が脆弱だと見られたマーガレット・サッチャーが長期政権を築くことができた理由の一つは、少し前の記事にも書いた通り就任当時のサッチャーの53歳という年齢だが(高市は現在64歳である)、もう一つ、というより最大の要因は1982年にサッチャーがフォークランド戦争を起こしてこれに勝利したことだ。
高市は衆議院の解散さえしなければ次の国政選挙は2028年の参院選までない。その前の2027年に自民党総裁選がある。
高市はサッチャーを真似て、特に自分の信念に強く関わる案件以外は予想外に柔軟な姿勢をとると予想されるから(既にその傾向は表れている)、残念ながらそれなりに政権が続く可能性がある。
しかし高市のあともなお自維(残念ながら「N」が取れてしまったようだ)が続くかどうかはわからない。自民党最後の総理大臣か、または自民党の最後から2番目の総理大臣になる可能性がかなり高いと私は思っている。
立民をはじめとする野党は、いつ政権を担わざるを得ない場面が訪れるかわからないと覚悟して行動しなければならない。
今回その覚悟ができていなかったことを露呈したのが玉木雄一郎の民民分派だった。