kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

環境問題に関する植草一秀の主張は自民党や経団連と立場が同じ

He does not know what efficiency is, I think. - Living, Loving, Thinking, Again より。

さて、古寺多見さんは、植草が「環境問題を経済効率の観点からしか捉えることのできない劣化版新自由主義者」だと言っている。しかし、「経済効率」がわかっているのかどうかも怪しいと思う。CO2排出削減というのは、製造業にとっては生産工程の効率化を意味し、消費者にとっては自動車の燃費の向上や家電製品の電力消費の効率化を意味するからだ。また、CO2排出削減という目標を提示することによって、技術革新を巡る競争を活性化させるという効果はいうまでもない。

それから、植草は「外部不経済」や「社会的費用」を巡って、庄司光、宮本憲一『日本の公害』や宇沢弘文『自動車の社会的費用』は読んでいないのか。年代からいって、彼は東京大学在学中に宇沢の講義を聞いている筈なのだが。それから、「安全性」を巡る古典的な議論として、武谷三男の『安全性の考え方』をマークしておく。

これは強烈な植草一秀批判だが、この批判はそのまま経団連に当てはまるし、先日のテレビでの党首討論で、民主党政府の掲げる温室効果ガス25%削減の中期目標を、産業界に負担を押しつけて経済成長を阻害するものだと決めつけた自民党谷垣禎一にも当てはまる。

あれっ、てことは環境問題に関する植草一秀の立場って経団連自民党と同じってことじゃん。

なお、植草の立場は池田信夫とも同じだが、sumita-mさんの論を借用すると、ノビーもまた「『経済効率』がわかっているのかどうかも怪しい」ことになる。

環境問題は、ノビーと植草一秀を同時に批判できるので、手間が省けるテーマだなあというのはさておき、日頃から植草一秀を信奉している人たちから、師の主張をめぐる議論が起きないあたりが、「ブログのどうしようもなさ」だと思う。

なお、植草一秀のブログ内で「宇沢」を検索語にしてブログ内検索をかけてみたが、1件も引っかからなかった。いくらなんでも、植草が宇沢弘文を知らないとは思えないが、普段ほとんど意識していないだろうことは想像がつく。「植草一秀 宇沢弘文」でGoogle検索をかけると、『きまぐれな日々』の下記エントリが引っかかったが、私は宇沢弘文の名前を出しただけで、論じてはいないのだった。

きまぐれな日々 公共交通網やオーケストラは滅び、陰謀論やトンデモが栄える

おまけ。植草センセの最新エントリ。
「悪徳ペンタゴン」との最終決戦になる参院選: 植草一秀の『知られざる真実』

なんと空疎なエントリだろうか。ここで植草は

テレビ番組で御用コメンテーター業にいそしむ偏向放送局NHK出身の池上彰

などと悪口を書いているが、池上氏はリベラル派の真面目なジャーナリストである。そもそも植草は「御用コメンテーター」などと書くが、現在政権を握っているのがどの政党なのか、植草は知らないのだろうか。