kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

金本知憲に恥をかかせてしまったお人好しの真弓明信・阪神タイガース監督

日曜日に、阪神タイガース金本知憲の連続試合全イニング出場の記録がストップしたが、その直前の試合で、金本は外野からの送球をグラウンドに叩きつける醜態を演じた。誰もが、もう金本の記録継続は無理だと思ったし、金本は自ら真弓監督にスタメンから外れることを申し出て、記録は止まった。

本当は、もっと前の試合で、真弓監督が決断を下さなければならなかった。それができなかったことによって、阪神は開幕ダッシュに失敗した。

阪神は、今年も巨人や中日とデッドヒートを演じるかもしれないが、全イニング出場は途切れても連続試合出場の記録は継続している金本の起用法には今後も悩まされるだろう。思い出されるのは、金本の古巣・広島カープが、1987年に衣笠祥雄の連続試合出場の記録と引き替えにリーグ優勝を逃したことだ。前年のリーグ覇者だった広島の足を引っ張ったのは衣笠だった。この年の広島は、巨人・中日と優勝を争ったが、衣笠の疲れが見えた夏場に脱落し、巨人・中日の後塵を拝して3位に終わった。

金本の連続試合全イニング出場で思い出すのは、5年前のセパ交流戦で、ソフトバンクホークス三瀬幸司投手に頭部死球を受けたことだ。金本は、2003年のダイエーホークスとの日本シリーズで、本拠地・甲子園球場で打ちまくって3連勝の立役者になったが(シリーズ自体は福岡ドームの4試合に全敗して敗北)、それから2年後のこの交流戦では、阪神は本拠地でソフトバンクに連敗し、3戦目も敗色濃厚だった9回裏に、金本が頭部に死球を受けたのである。三瀬は危険球で退場を宣告され、阪神ファンは激怒して荒れたが、金本は立ち上がって一塁に歩き、三瀬に怒りをぶつけることもなかった。試合後、金本のグラウンドマナーを敵将・王貞治が激賞した。王監督の言葉に感銘を受けた阪神ファンの間では、日本シリーズソフトバンクと再戦したいとの声が高まったが、レギュラーシーズンを1位で終えたソフトバンクは、プレーオフでロッテに敗れた。阪神日本シリーズでそのロッテを相手に歴史的惨敗(4戦全敗で、第1戦から3試合連続10失点)を喫した。以後、ソフトバンク阪神も一度も日本シリーズに進出していない。プロ入り前には阪神ファンだった三瀬は、ホークスのリリーフエースだったが、この試合で阪神ファンの怒りを買ったのがトラウマになったのか、この試合の後にも救援失敗を繰り返し、リリーフエースの座を剥奪されて、今でも三瀬は現役だけれど、かつての輝きを取り戻すことはないまま現在に至っている。

この時の金本の振る舞いは、私にとっても非常に印象深いものだった。これ以降、私は、阪神はあまり好きではなくとも、金本にはずっと敬意を払ってきた。それだけに、金本に恥をかかせることになった返球の醜態をファンの前で見せる前に、真弓監督は金本の記録を断ち切る非情の決断を下すべきだったし、それができなかった真弓明信には、監督の適性はないと思う次第である。

お人好しには、監督は務まらない。