kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

民主党代表選の「真の勝者」は小沢一郎だった

朝日新聞の社説だの渡辺勉や星浩といった政治記者が書く記事だのは、読むのも本当に苦痛だ。特に昨日(8/30)の朝日新聞社説は実にひどくて、財政再建至上主義路線を歩もうとする野田佳彦を評価する内容だった。毎日も同様だったようだ。かなり前からの伝統だが、朝日・毎日の経済問題に関する社説は「経済右派」に属していて、「小泉・竹中構造改革」路線を支持したかと思うと、現在では財政再建路線の旗を振るありさま。よくテレビに出てくる記者では、毎日の福本容子というのが悪しき典型だ。朝日には富裕層御用達の伊藤裕香子という記者もいる。

民主党の野田政権は、発足当時は野田の経済政策を支持する朝日・毎日と政治右派ぶりを支持する読売の後押しを得る一方、「党内融和」や「挙党内閣」がコアな民主党支持層にも評価され、そこそこの内閣支持率を得るのだろう。「脱原発」はどっかに吹っ飛んでしまって、原発は次々と再稼働されるばかりか、現在建設中の原発を完成させる動きですら止まらないだろうけど、世論の反発の力は強くはならない。テレビの「脱原発」特集の番組も減っていく。だがそれで東電の福島第一原発から漏れた放射性物質がなくなるわけではない。原発問題でも経済政策でも野田佳彦への批判は次第に高まり、内閣支持率は鳩山・菅両内閣ほど急激ではなくとも、徐々に下がっていくだろう。


ところで輿石東の幹事長就任だが、なんでみんなもっと大騒ぎしないんだろうか。今朝(8/31)の朝日新聞2面には次のように書かれている。

 野田佳彦新首相が「挙党態勢」の証しとして民主党幹事長に起用したのは、小沢一郎代表に近い輿石東参院議員会長だった。人事とカネを握る要職を小沢氏側に明け渡す代わりに、党内抗争に終止符を打つ狙いがある。だが、小沢氏が政権運営の主導権を握り、自民・公明両党との政策協議が難航する可能性もあり、両刃の剣だ。

朝日新聞 2011年8月31日付2面掲載記事より)


私は朝日が書くような「自民・公明両党との政策協議が難航する可能性」なんて全然ないと思うけど(だって小沢一郎の「マニフェスト堅持」って単なる方便だからね)、「人事とカネを握る要職を小沢氏側に明け渡」したって、これ大変なことですよ。

言ってみれば、野田佳彦民主党を解体する権限を小沢一郎に与えたようなもんだ。これは、次の総選挙よりもだいぶ前の段階で、早ければ来年春、遅くとも来年秋には一騒動ありますよ。

現在、野田佳彦が「党内融和」に向かって動いていることに胸を撫で下ろしている善良な民主党シンパの人たちは、その時になったらまたハラハラドキドキの日々を送るわけだ。私は「きまぐれな日々」しか送らないけどね。


この件に関して、当ブログにお寄せいただいたid:carechi1964さんのコメント*1より。

carechi1964 2011/08/31 02:46
私も輿石に幹事長をというのにはビックリしました。・・・ということは、kojitakenさんが前のエントリで推測した事柄が現実味を帯びて来たんじゃないでしょうか?すなわち、小沢一郎は最初から海江田を代表にするつもりはなく、裏では野田と取引までしていたと読むのは考え過ぎでしょうか?


「あのエントリ」というのは、『きまぐれな日々』の超長文記事「野田が代表選勝利。小沢一郎に本気で『勝つ気』はあったのか」*2のことだろうと思いますけど(こちらのブログにも同主旨の記事を書きましたけど)、あれは一種の「陰謀仮説」です。でも、輿石東幹事長という現実を見せつけられると、あの仮説は「当たらずといえども遠からず」だったんじゃないかなという気がしてきますね。あれ、昨日今日決まった話じゃないですよ。「裏取引」と表現するかどうかは別として、かなり前からこの線で動いていたことは間違いありません。幹事長ポストをめぐる前原誠司との交渉はおおっぴらに報道されてましたけど、同じ交渉を野田佳彦ともやっていたわけです。前原は拒否して、野田は承諾した結果、今回の民主党代表選の得票数に至りました。

今回の民主党代表選の真の勝者は、やっぱり小沢一郎だったんじゃないかなあという気がしてきます。野田佳彦って読みが甘いよね。