kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

中日を優勝させたのは「敗戦にガッツポーズをした男」坂井克彦球団社長だった

今年のプロ野球読売リーグだが、正直言ってヤクルトが9月上旬に神宮球場で行なわれた阪神3連戦に全勝した時、勝てると思った。しかし流れを変えたのは「中日を優勝させたくない」中日球団のフロントだった。「勝たせたくなかった」フロントがチームを優勝させた。こんなことは前代未聞だろう。

中日ファンの間で少し前から話題が沸騰しているらしいのが、上記の神宮3連戦の直前に行なわれていたナゴヤドームでの中日対読売戦で、中日が読売に敗れた時に中日球団社長・坂井克彦がガッツポーズをしたらしい件である。坂井は中日が優勝を決めた日の祝勝会に参加したが、首脳陣や選手の誰からも相手にされず、自分で自分にビールをかけていたらしい。飲んだのもやけ酒だったに違いない。

なんでも、球団社長の進退問題にもなっているらしいが、ヤクルトの最大の敵はこの男だったのかもしれない。私は今年の中日は昨年ほど強くないと見ていた。昨年優勝を争った読売戦や阪神戦におけるホームゲームの強さは、今年の中日にはなかったからだ。

ところが、このガッツポーズの2週間後、中日球団が落合監督の解任を発表したことが、中日の首脳陣や選手の負けん気に火をつけ、以後中日は昨年並みのホームゲームの強さを取り戻してしまった。その日から数えて9試合あったヤクルト戦のホームゲームを中日は8勝1敗。なんたることだ。

自軍に優勝させたくないフロント、といえば思い出されるのは1973年の阪神で、マジック1で迎えた中日球場での中日戦の前、江夏が球団フロントに「勝たなくても良い」と言われたという伝説がある。だが私は長年この「伝説」の真偽を疑っていた。仮に本当であったとしても、中日球場で優勝が決まったら甲子園球場で行なわれる読売戦が消化試合になるなどの理由ではなかったか。今も阪神ファンが非難する「中日戦=江夏、読売戦=上田」の先発投手起用にしても、この年の上田は中日戦だけではなく読売戦でも江夏の成績をはるかに上回っていたから、それを無視して完全に否定されるまでには至らないのではないか。そう思っていたのだ。だが今年、本当に自チームを優勝させたくない球団フロントが存在することを見せつけられて、あの年の阪神球団のフロントも同じだったかもしれないと今になって思い直している。

ただ、仮に当時の阪神球団が本当に自チームを優勝させたくないと思っていたとしても、今年の中日球団のフロントのような露骨な態度はとらなかったといえるのではないか。江夏の一件はあるけれども、密室での話だし、江夏は思い込みの強い男だ。それにひきかえ、今年の中日球団社長の意図はあまりにも見え透いていた。あの読売V9の年から38年、フロントの横槍にへこたれない首脳陣や選手たちは38年前と比べてたくましくなったといえなくもないが、経営陣は当時と比べて大きく劣化したといえそうな気がする。

70歳の高木守道が監督に復帰する来年の中日は、モバゲーベイスターズと最下位を争うのではないかと私は思っているけれども、ロウソクの火が燃え尽きる直前の輝きとも思える今年終盤の同球団の戦いぶりのあおりをヤクルトが食ったことがいまいましい。どうせやられるなら読売がやられれば良かったと思うが、読売も昨年同じような逆転劇を中日にやられているし、そもそもあの球団も毎年のようにナベツネに足を引っ張られているのだった。