kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

宇野正美の「ユダヤ陰謀論」を評価していた読売新聞と「自民党右派」(笑)

連休中最初に読み終えた本。


世界の陰謀論を読み解く――ユダヤ・フリーメーソン・イルミナティ (講談社現代新書)

世界の陰謀論を読み解く――ユダヤ・フリーメーソン・イルミナティ (講談社現代新書)


正直、冗長との読後感は否めなかった本だが、日本における陰謀論から説き起こして、ユダヤフリーメーソンイルミナティアメリカにおける陰謀論陰謀論の論理という6章立てになっている。これらのうち、イルミナティはゲームになっているらしいことは聞きかじっていたものの、具体的な内容については全く知らなかったので、この本に初めて教えてもらった。

第1章から陰謀論者・宇野正美と自民党右派の関係を述べた部分を引用する。

経済大国日本のベストセラー


 1980年代後半から90年代前半にかけてユダヤ陰謀論はふたたび流行し、社会に無視できぬ影響を及ぼした。その火付け役となったのは、宇野正美『ユダヤが解ると世界が見えてくる』『ユダヤが解れば日本が見えてくる』(ともに徳間書店、1986年)である。1993年には続編『ユダヤと闘って世界が見えた』(光文社)も出版された。

 宇野の主張は以下のようなものだった。アメリカはユダヤ人の「影の政府」に支配されている。彼らは日本の優秀さを恐れ、生意気な日本を叩き潰すために第二次世界大戦を起こした。彼らは戦後の対日政策によって、日本の根底を支えていた民族精神を崩壊させた。そして日本人を物と金の奴隷に仕立て上げ、世界の工場として利用したのである。しかし日本は予想を超えて経済発展し、ユダヤ人の世界制覇を脅かしかねない存在になってしまった。彼らはいま、日本弱体化の計画を進めている。1985年プラザ合意による円高ドル安政策はそのひとつである。彼らは1929年に世界恐慌を引き起こしたときと同じように、1990年にふたたび金融大恐慌を引き起こし、アメリカに金本位制を宣言させることによって、日本経済を壊滅させようとしているのである――。

 彼の「理論」は、当時の日米関係を鋭く読み解くものとみなされた。たとえば1987年1月17日付の読売新聞は、宇野の説を好意的に取り上げ、自民党保守派は憲法記念日の大会に宇野を招待した。ユダヤ陰謀論は一部のマニアックな言説としてではなく、日本のメインストリームに受け入れられたのである。

(中略)

 宇野の著作のヒット以降、この種のユダヤ陰謀論が多数出版されるようになった。週刊誌でもユダヤ陰謀論が取り上げられた。このような流行は、1987年3月12日の『ニューヨーク・タイムズ』で「日本では反ユダヤ主義の本がベストセラーになっている」と報じられるなど、海外にも知られることとなり、一種の国際問題にも発展したのである。

(辻隆太朗『世界の陰謀論を読み解く――ユダヤフリーメーソンイルミナティ』(講談社現代新書, 2012年)29-31頁)


読売新聞や「自民党右派」にもずいぶん恥ずかしい過去があったものだが、現在、その伝統を「小沢信者」の一部が受け継いでいるといえようか。もっとも、1987年の時点では小沢一郎自身が「自民党右派」とみなされていたことを考えれば、驚くにはあたらないかもしれない。いくらなんでも宇野正美を招いた「憲法記念日の大会」に小沢一郎が出席していたことはないと思うが。

本にはリチャード・コシミズベンジャミン・フルフォードの名前は出てくるものの、残念ながら副島隆彦植草一秀らへの言及はない。しょぼい植草はともかく、副島隆彦陰謀論はなかなか強烈なのだけれど。

なお、宇野正美自身は小沢一郎を「フリーメーソン」とみなすなど、明白な「反小沢」である。下記ブログ主・井口和基*1も「宇野信者」にして「反小沢」なのだが、その井口に「小沢信者」の梶川ゆきこ・元民主党広島県議が入れ込んでいるらしい。
「311はフリーメーソンの仕業!」:宇野正美氏の講演談! : Kazumoto Iguchi's blog