kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

立民支持層 vs. 山本党支持層の論争の構図は「増税派」と「上げ潮派」の論争の焼き直しでは?

 杉山真大さんから下記記事にコメントをいただいた。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 杉山真大 (id:mtcedar)

そもそも落合の件の呟き https://twitter.com/ochiaitakayuki/status/1231184034975236096?s=19 って、田中信一郎須藤元気議員への批判が発端なんですよね。
https://twitter.com/genki_sudo/status/1230789102183710720?s=19
https://twitter.com/TanakaShinsyu/status/1230843622465011719?s=20

それにしても、野口悠紀雄宇沢弘文と同列に扱ったり https://twitter.com/TanakaShinsyu/status/1231367716725899266 経済政策は経済学じゃなく公共政策だ https://twitter.com/TanakaShinsyu/status/1231365876193980417 などと専門家やブレーンにしては頭がコチコチなのでは。

 

 杉山さんからは数日前、2016年に公開した下記記事にもコメントをいただいている。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 杉山真大 (id:mtcedar)

本日の『朝日新聞』で原真人が大平正芳を高く評価している https://www.asahi.com/articles/DA3S14370627.html ので、久し振りにこのエントリを眺めて見ているのですが、相も変わらず"リベラル"の"保守本流"への幻想が大き過ぎると感じますね。この間の日曜日に行われた立憲フェスでは枝野幸男が「昭和の成功体験からの脱却」「『責任ある充実した政府』を取り戻す」と言っていた https://cdp-japan.jp/news/20200216_2608 けど、同じフェスで開かれていた経済政策のセッションでは田中信一郎池田勇人大平正芳を持ち上げ事もあろうに下村治と宇沢弘文を同列に扱う(!)ということをやらかしている https://amzn.to/2vGn54l のだから、それこそ(田中が一方的に高く評価している)宇沢が化けて出るとさえ思いましたよ。このエントリとそれへの自分のコメントを改めて読んでみて、あぁ"リベラル"は何もアップデートしていないのだなという感慨に耽っています。

 

 まず田中信一郎氏の専攻は政治学で、経済学の方は適当ですね。私はどっちも(もっと)適当ですが。

 で、私も田中氏は買っておらず、昨年3月下記記事で氏を批判したことがあります。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 この記事を公開した昨年3月は、急速に立憲民主党が支持率を下げる中、一部の同党支持者が「信者化」して「反・反緊縮」に走る傾向がみられました。これが、それでなくとも立民から心が離れていた私がますます同党との距離を広げる原因になりました。ですから昨年4月以降は、この界隈の議論には立ち入りたくないので、関わるのを避けてきました(だから昨年3月9日以降のこの日記で、田中氏への言及は一度軽く名前を出しただけの例外を除いてしませんでした)。

 田中氏は最近も、神野直彦(後期宇沢弘文の高弟)が2007年に、つまり神野氏が2010年に菅直人と妥協する前に書いた岩波ジュニア新書『財政のしくみがわかる本』を引き合いに出して、この本を読めば財政規律の大事さがわかるとか呟いていたような記憶がありますが、10年以上前にこの本を読んだ私の記憶によれば、この本に書かれていたのは財政均衡論に対する批判でした。同書には消費税の逆進性をもかなり指摘していますが*1、そういった部分は田中氏とその周辺による議論からは切り捨てられています。これらがネックになって、立民の経済政策にはますます期待できなくなっているよなあ、というのが正直な私の意見です。

 しかし、現在それよりももっと問題だと思うのは、昨年春の立民同様、政党支持率が低下して、もともと「信者」的な傾向が強かったコアな支持層がますます先鋭化している山本元号党の支持者たちだと考える次第です。彼らは自称「反緊縮」ですが、私には「反・『反・反緊縮』」、つまり立民に対する(多分に感情的な)反発によって動いているようにしか見えません。

 彼らの中には、落合貴之初芝明博らを「経世済民の政治家」などと称揚する向きもあるようですが、私は落合や初鹿らを全く買いません。彼らは、その時その時に都合の良いように主張をコロコロ変える信用できない政治家たちだとしか思えません。

 それで、より問題の多いほうを強く批判すべきだと考えるという理由により、落合貴之をぶっ叩いた次第です。

 なんか、今の立民と山本党のコアな支持者の対立構図って、ひと昔以上前の自民党増税派(与謝野馨ら)と上げ潮派中川秀直ら)の争いの焼き直しにしか見えないんですよね。あれは、当時の経済軸上の左派からは「新自由主義陣営内での論争」と評されましたが、与謝野馨を入閣させた菅直人の流れをくむ立民の支持層と、第2次安倍内閣が成立する前にはリフレは右派ないし中道派からもてはやされていたみんなの党系の政治たちを持ち上げる山本党の支持層って、ぶっちゃけた話、どっちもネオリベじゃねえのか?と疑っています。

 まあ2014年末から15年初めにかけてピケティの大著を読んで感心したものの、最近では経済学系の本をあまり読まなくなっている私も、全然認識がアップデートしていないといえばそれまでなんですが。

*1:但し北欧社民主義を理想とする神野直彦は、直接税の課税ベースを十分広げた上でそれ相応の消費税の課税を行うべきだと主張し、リフレ派の間では盟友の金子勝とセットにされて標的になっている。