kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「日本では新型コロナウイルス感染症の致死率が低い」という俗論が性懲りもなく再発した

 昨日「週刊文春」の最新号を立ち読みしていたら、またぞろ「日本では新型コロナウイルス感染症の致死率が低い」などと書かれた文章に遭遇したので頭痛がした。

 まだそんなことを言っているのか。春先に流行ったもののその後否定された議論が、またしても蒸し返されている。いったい同じ誤りを何度繰り返すのか。

 下記に当日記の5/31の記事をリンクする。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 以下引用する。

 

 日本国内での新型コロナウイルスによる死亡者数は、ようやく1桁の日が続くようになってきた。昨日(5/30)は5人で、致死率は5.30%になった。5月30日に5.30%という覚えやすい数字だ。もっともこれはNHKの報道によるもので、厚労省発表の数字とは合わない(厚労省の認定がいつも遅れるため)。致死率は先月末に3%を突破したが、5月の1か月間だけで2.3ポイントも上昇した。死亡者数は確認される陽性者のピークよりもかなり遅れる上、ブロードなピークになることはよく頭に入れておく必要があるだろう。感染拡大の初期段階における致死率の低さには何の意味もない。ましてやそれを感染拡大のピークを過ぎた国と比較して「日本の医療の優秀さの表れだ」などと誇らしげに言っていた論者たち(主にネトウヨ)は赤恥をかいた。実際には日本の致死率は中国(約5.5%)やフィリピン(同じく約5.5%)を除く他の東アジア諸国よりも高くなった。致死率はPCR検査体制整備の度合いと医療体制の水準で決まると考えられるが、日本の場合は検査体制があまりにも貧弱なのだった。

 

出典:https://kojitaken.hatenablog.com/entry/2020/05/31/084317

 

 重症者数や死亡者数は「遅行指標」なのだ。この点をよく頭に入れておかなければならない。

 

 また、同じく当日記の6/2付記事より。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 北九州市の陽性者が増加した原因として、感染のぶり返しのほかに、PCR検査数を増やしたことによって、これまでは発見できなかった陽性者を発見できるようになったことが挙げられる。もちろんこれは良いことであって、「検査数を増やせば医療崩壊」などという、ひところネトウヨを中心として流布していた俗論の方が完全に崩壊した形だ。

 各地で同様の検査数拡充がなされるようになれば、陽性者の捕捉率が上がり、致死率は下がることになる。だから、致死率のレポートの記事を毎日公開するのは、今回で止めることにしよう。5月末の時点の致死率5.3%という数字を、今後第2波まで(マスメディアの報道によれば第1波まで)の日本国内における新型コロナウイルス感染症の致死率(=死亡者数/陽性者数)の数値として用いることにする。将来的には、この5.3%という数字は国内でPCR検査体制が拡充される前の致死率という位置づけになるだろう。

 昨日(6/1)の日本国内で新たに確認された陽性者数は37人で死亡者は2人、累計では陽性者数16949人に対して死亡者数は898人、致死率は5.30%で、ここ数日致死率はほとんど動かなくなった。

 

出典:https://kojitaken.hatenablog.com/entry/2020/06/02/061427

 

 上記引用文の最後から、5/31までのクルーズ船を除く日本国内の陽性者は16912人、死亡者は896人だったことがわかる。

 今日(8/1)未明のNHKニュース*1を参照すると、7/31までのクルーズ船を除く日本国内の陽性者数累計は36389人、死亡者は1013人である。単純に致死率を計算すると2.8%になるが、この数字には意味がない。いわゆる「第1波」(私は第1波及び第2波だと考えているが)の分まで含まれてしまうからだ。

 そこで、「K値」の手法に倣って、というわけでもないが、5月末でいったん「リセット」を行い、6/1以降に確認された陽性者と死亡者の数を引き算で求めると、6/1から7/31までの2か月間に確認された陽性者数は19440人、死亡者数は105人で、致死率は0.5%という低率になっている。死亡者数には「第1波」によるケースも混ざっているだろうから、実質的には致死率はさらに低いはずだ。

 しかし、春の例から類推して、死亡者数が今後ぐんぐん増えることは間違いない。言葉は悪いが、「まだ死んでない人」が死に始める。新型コロナウイルス感染症では長患いの末に亡くなる人が多い。但し、検査数が増えているので、検査による捕捉率を反映する数字でしかない最終的な致死率は、今回のいわゆる「第2波」(私の定義では「第3波」)については、おそらく前回の3分の1にあたる1.8%くらいになるのではないかと予想する。しかしそれでも、6月、7月に確認された2万人近い陽性者のうち、既に亡くなった人たちの分を除外しても、300人くらいの死亡者が今後出る恐れが強い。しかも悪いことに、主に安倍政権の無策によって、陽性者は日々増え続けている。上記300人のうちには、今日(8/1)以降確認される陽性者は含まれていないのだ。

 死亡者数が増える気配は既に表れている。昨日(7/31)確認された陽性者数は1580人だが、死亡者が6人出ている。1日の致死率としては0.4%だが、このところ日に5人を超える死亡者が出る日がぽつぽつ出始めた。死亡者数は今月かなり増え、来月(9月)になると目に見えて多くなるはずだ。PCR検査数は名古屋市などでは相変わらずキャパが極端に小さいが、東京都などではかなり増やしているようだから、最終的な致死率は1.8%も行かないかもしれないが、それでも1%台には確実に乗るだろう。今後の数字が悪くなることは覚悟しておかなければならない。

 ことに地方の県知事らが懸念しているのはお盆の帰省ラッシュだが、どうなることやら。今のままだと、東京・大阪・名古屋などからの帰省者が感染を拡大する恐れがきわめて強い。

 しかし、ゴールデンウィークに続いてお盆でも人の移動を制限すると、そうでなくとも5月頃に大きく下げて未だに回復しきっていない安倍内閣の支持率がまた下がるだろう。もちろん、感染状況がこのままでは、安倍晋三が企む衆議院の解散も来年の東京五輪の開催も不可能だ。

 事態がどうなるかはわからないが、暗い予感しか持てない、とんでもない8月のスタートとなった。