NHKは下記リンクに示す通り、まだ「"第4波"か」などと書いているが、リンク先に示されたグラフを見るだけで、第4波のまっただ中にあることはすぐわかるはずだ。
現在のところ、新規陽性者数は第3波のピークの3分の1くらいで、最終的にどれくらいの規模になるかはわからない。そもそも第4波の全部が変異株由来でもなさそうだから、第4波の性格自体もはっきりしない。第3波は2段階に分かれて襲ってきて、その2段階目で1段階目よりも急激に陽性者が増加したが、一部の学者たちが予想しているような、変異株による第5波が第4波の直後にやってくる可能性もある。
ともあれ現在は第4波による陽性者が急増している局面だ。その規模は宮沢孝幸流にいう「第3-1波」を既に超えたが、「第3-2波」と比較すると今のところ1日あたりの新規陽性者数の最大値は3分の1程度だ。
諸外国と比べてどうかというと、欧米は人口あたりだと日本の10倍以上だが、東アジアでは日本の成績は際立って悪い。ネトウヨももう韓国と比較しなくなったが、東アジアの中では決して優等生とはいえない韓国*1でさえ陽性者総計は10万人を少し超える程度だ。50万人に迫りつつある日本は、人口比を考慮しても韓国よりずっと悪く、2倍程度だ。韓国は死亡者数も日本の5分の1にも満たない。つまり致死率でも日本は韓国よりも悪い(韓国1.7%に対して日本1.9%*2)。
ニュージーランドは陽性者総計2千5百人強で、人口あたりだと日本の8分の1程度。また台湾に至っては陽性者数が千人強で、人口あたりだと実に日本の80分の1程度になる。両国は致死率でもともに1%程度で、2%近くを数える日本の半分くらいしかない。新型コロナに関しては、ニュージーランドは日本の15倍安全で、台湾は150倍安全ということになる。
こんな状態で、欧米諸国はいざ知らず、アジアの国々が今まさに何度目かの感染爆発を迎えかねない日本に、五輪の選手を送り出すだろうかと思う。
今日はグラフを示す前の文章が長くなった。下記はNHKのデータ*3に基づいて作成したグラフ。上が昨年3月以降の7日間移動平均の対数プロットで、下が昨年10月以降の週間値の線形プロット。
これらのグラフを見ると、第4波に括弧をつけるなどナンセンスでしかないことがよくわかるだろう。
3月27日(土)から4月2日(金)までの1週間の新規陽性者数は15,494人(前週比43.3%増)、死亡者数は212人(同2.9%増)だった。先週は前週比の新規陽性者数と比べて25.3%の増加だったから、今週は感染状況が先週と比べて一段と急激に悪化した。また、1月の緊急事態宣言発出後もっとも新規陽性者が少なかった2/20(土)から2/26(金)の1週間と比較すると、新規陽性者数は2.17倍になった。
死亡者はわずかながら8週間ぶりに増えた。死亡者数を新規陽性者数で割った値は1.37%で、前週の1.91%よりさらに下がり、昨年1月以来の全期間の致死率1.92%(第3波のみでは1.94%)を大きく下回った。現在は第3波の規模が特に大きかった首都圏などを除いて第3波の影響はほぼ消え*4、第4波の寄与が支配的になりつつある状態とみられる。もちろん首都圏でも単に第3波が大きすぎただけのことであって、他の地域と同様に第4波が急拡大していると見られる。遠からず首都圏でも第4波の影響が支配的な段階に入るだろう。