kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

再生エネ法成立と菅政権「8月退陣」が見えてきたかも

22日の朝日新聞1面は「国会 70日延長へ」。サブタイトルに「首相、再生エネ法意欲」と書かれているものの、4面に掲載された政局解説記事は、この法案の成立のハードルはさほど高くないと書かれている。かねて報道されてきたようにこの法案は経産省がとりまとめたものであり、産業界も強硬反対一本槍ではないからだ。ただ、経団連の中核をなす重厚長大産業の反対が強かった。

記事にはイラストがついていて、法案成立にもっとも積極的なのが菅直人首相と福島瑞穂社民党党首。次いで共産党みんなの党が推進派で、山口那津男公明党代表谷垣禎一自民党総裁が中立。一方、強硬に反対しているのが自民党原発推進勢力であると位置づけている。

産業界では、商社と電機メーカーは成立歓迎派。経産省は歓迎派と反対派の中間ながらむしろ成立歓迎寄りで、これは経産省がまとめた法案だから当然だ。むしろ鮮明な歓迎派ではない方が不自然だが、これは経産省の官僚といってもいろいろな人がいて、強硬な原発推進勢力も少なからずいるから、彼らが足を引っ張って平均で見れば「中間、やや成立歓迎派寄り」になるのだろう。

朝日新聞に載ったチャートでは、重厚長大産業が自民党原発推進勢力ともども「強硬反対」だが、電力会社は「中間、やや反対寄り」に位置づけられている。これは、経産省が法案をまとめる際に事前に業界と調整し、もっとも電気料金への転嫁が少ない試算(家庭で月150円〜200円程度)に沿って法案を作ったためだ。電力会社は、事前に経産省と相談しているし、電気料金に転嫁できるから反対が弱いのだ。

電源三法交付金の財源も、もとをただせば電気料金だ。電力会社は国に販売電気1000kWhあたり375円の税金を払い、これが電源三法交付金の財源になる。家庭での平均の電力消費量は370kWhくらいだそうだから、月々140円ほどの税金を電源三法交付金のために負担している計算になる。買い取り制度による家庭の負担増はそれよりわずかに多い程度だ。それなら、「電源三法」を廃止してしまえば良いと私は思うのだが、なかなか同じことを考える人は多くないようだ。私が運営するブログにコメントを寄せる人の中には、電源三法交付金のための電気料金上乗せには何の問題意識も持たないのに、買い取り法案のための電気料金上乗せのことばかり叫ぶ人がいるが、一体何を考えているのかと訝る。そもそも原発は「低コスト」との虚偽宣伝がなされているが、実は原発が作られれば作られるほど電気料金が上がってきたという歴史的事実がある。私は、買い取り法案が成立したら次にやるべき政策の「柱」の一本として、「電源三法の廃止」を主張している。


現在、民主党執行部(仙谷・岡田・玄葉ら)や自民党の支持者たちは、菅首相が買い取り法案を人質にとって政権延命を図っているとしてこれを非難する。これが菅直人の駆け引きであるというのは当たっていると思うが、彼らが自民党による同法案の審議入り拒否を不問に付していることはきわめて公平を欠くものだ。

上記のように、さほど成立へのハードルが高くない法案を、民主党内の「菅降ろし」に便乗してか、委員会での審議入りさえ拒否していたのが自民党なのだ。審議入り拒否を実行した委員の西村康稔安倍晋三の側近で、甘利明の「原発を守る議連」(正式名称は失念したw)に加わっている。

要するに発端は自民党の「政局火遊び」であって、それを政局の立ち回りでは自民党のチンピラたちより一枚上の菅直人に逆利用されただけの話だ。しまいには「菅降ろしに原発の影」という東京新聞の書いたまことしやかな政局観測記事にもっともらしさを与えることになってしまった。「政局好き」というと小沢一郎がすぐに思い出されるが、菅直人も決して負けてはいない。小沢一郎の「国民の生活が第一」と同様、菅直人の(本人は公の場では決してそうは言わないが)「脱原発」も、本心から出たものというより政局のためのダシに過ぎないと私は思っているのだが、民主党そのものがそういう政党なのだろう。まさに「鵺」の集団である。それでも、一番悪いのは「政権交代選挙」に負けたうえ、未だに頑迷な原発推進政策にこだわっている自民党であることはいうまでもない。彼らが菅直人に付け入る隙を与えたのが一番悪い。再生エネ法審議入り拒否は、とことん原発を守ろうとした自民党の貪欲さの表れであり、そこを菅直人に逆手に取られたのだ。仕掛けたのは自民党の方だから「自業自得」である。

今後の政局だが、私には菅直人の8月退陣が見えてきたように思われる。もともと私は、今回の内閣不信任案が否決された直後から、「菅政権は8月くらいまでだな」と思っていたから、意外でもなんでもない。むしろ、ほっといても8月には退陣するのに、それを前倒しにしようと政局を仕掛けてきた自民党民主党執行部(仙谷・岡田・玄葉ら)に対し、いったい彼らは何のためにこんな馬鹿騒ぎをしているのだろうかと呆れるばかりだった。テレビは菅直人が政治空白を作っていると言うが、私は「政治空白」に関しては、自民党民主党執行部の方がさらに罪が重いと思う。

今後、彼らは手痛いしっぺ返しを受けることになるだろう。