kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

日本シリーズ第6戦、まさかのホームチーム6連敗。決着は最終戦に

日本シリーズ第6戦で、ついに史上初の珍事が起きた。ホームチームが第1戦から1勝もできずに6連敗したのである。

第1戦から第5戦までホームチームが全敗した例は過去1度だけある。2000年のダイエー対読売だが、この時は読売が第6戦のホームゲームに勝って4勝2敗で優勝した。

第1戦から第4戦までホームチームが全敗した例も、前記のダイエー対読売戦の他には2例しかない。1982年の中日対西武と1985年の西武対阪神である。1982年には西武、1985年には阪神がそれぞれホームで行なわれた第5戦に勝ち、ロードの第6戦にも連勝して優勝した。つまり、1982年の中日と1985年の西武はホームで3戦全敗した。

日本シリーズでホームで3戦全敗したチームの例としては、他に1967年の阪急(対読売)、1999年の中日(対ダイエー)があるだけである。つまり過去に5例しかないのだが、今年の中日が6例目になった。6例のうち実に3例が中日で、残り3例のうち1例がダイエー(現ソフトバンク)である。

さらに、3戦全敗ではないがホームで3連敗した例としては、1986年の広島(対西武)がある。このシリーズは引き分けがあったので広島市民球場で5試合が行なわれ、広島は第1戦に2対2で引き分け、第2戦に2対1で勝ったものの、王手をかけた敵地での第5戦を1対2で落とすと、本拠地に帰っての第6戦以降を1対3、1対3、2対3で3連敗して計4連敗となり、3勝4敗1引き分けで西武に敗れた。今年のソフトバンクもホーム3連敗の例に加わったので、計8例目になる。8例のうち中日が3例、ホークスが2例を占めるのだから、両チームとも日本シリーズにおいてホームゲームで連敗することがいかに多いチームかということがわかる。

さらにさらに、3連敗ではないけれどもホームで3敗した例となると、1955年の南海(対読売)、1964年の阪神(対南海)、1976年の読売(対阪急)、1993年の西武(対ヤクルト)、2004年の中日(対西武)、2008年の読売(対西武)と6例ある。いずれもホームで行なわれた第7戦に敗れ、ホームで1勝3敗に終わった例である。ここまでくるとさほど珍しくはない。しかし、これらの例の中にもホークスと中日の敗戦が数え上げられる。

この両チームの戦いとなった今年の日本シリーズで、ホームチーム6連敗という珍記録が生まれたのだが、実はこのカードは前回対戦の1999年にも第1戦でダイエーが勝ったあとの4試合はすべてホームチームが敗れており、これを通算するとこのカードではホームチームが実に10連敗しているのである。

長々と書いたが、上記はいかにホークス、ドラゴンズの両チームが短期決戦というか日本シリーズを苦手にしているかを示すデータであり、今年はその集大成のような日本シリーズになっている。ドラゴンズは日本シリーズには弱いがクライマックスシリーズには強い。一方のホークスはクライマックスシリーズには昨年までめちゃくちゃに弱かったが、過去タイガースとドラゴンズを相手にした日本シリーズで敗退したことはない(その代わり読売戦には1勝8敗ととことん弱い)。要するに「似た者同士」というか「どっちもどっち」なのである。

さて、肝心の試合だが今日は2回からテレビ観戦した。つまり1回表の中日の得点シーンは見ておらず、わずかに4回裏のソフトバンクの得点シーンを見ただけだ。だが、2回以降失点はなかったもののソフトバンク先発の和田は明らかに不調だった。一方、中日先発の吉見は第2戦よりずっと良い出来だった。これでは今日のソフトバンクの勝機は薄いなと、ずっと思いながら見ていた。

今日のテレビ中継で何といっても目を見張らされたのは、北海道日本ハムのエース・ダルビッシュ有の切れに切れた解説だった。レギュラー解説者として来季日本ハム監督の栗山英樹が出ていたのだが、栗山はダルビッシュの解説のレベルに全くついていけなかった。

素人の私が見ていてさえアホかと思ったのが、8回裏二死一塁の川崎の打席で中日・岩瀬が登板し、ソフトバンクの一塁走者・福田(代走)が盗塁死してチェンジになった場面での栗山の解説だ。9回裏のソフトバンクの打順は川崎、本多と左が続くのだが、栗山は「普段の中日の野球から言ったら9回は浅尾かも知れませんね」とほざいたのだ。今季中日の試合をほとんど見ていない私でさえ、栗山の発言がデタラメであることはわかった。9回に左の川崎・本多と続く場面で岩瀬を降ろして浅尾を出したりしたら岩瀬に傷がつく。そんなことを落合監督がするはずがないのである。むしろ川崎と本多を打ち取ったあとの場面で岩瀬を続投させるか浅尾を出すかの方が私にはわからなかった。この程度のヤクルトファンにもわかることさえヤクルトOBの栗山にわからないとは何たること、と呆れた。この瞬間、私は来季の北海道日本ハムファイターズのBクラス転落を確信した。

一方、ダルビッシュのゲスト解説は、素人には思いもつかないことをバンバン言ってくれるので楽しかった。今日は在京キー局の中でもプロ野球中継のスキルが最低であることで悪名高いテレビ朝日の中継だったので、解説の栗山英樹のほか、実況のアナウンサーにもストレスがたまりまくったが、栗山とアナウンサー氏の無能を補ってあまりあるダルビッシュのゲスト解説だった。ただ、ダルビッシュはホークスの打者の待球についての情報もかなり指摘していたので、これは来季は日本にとどまるつもりはないんだろうなとも思った。しかし、栗山英樹の無能きわまりない解説を聞いていると、こんな監督のもとではダルビッシュも腐るだけだ、MLBに行った方が良いかもしれないと強く感じた。

なお、日本シリーズの解説で自軍のノウハウをぺらぺらしゃべった例としては、1994年の読売対西武の日本シリーズ第6戦にゲスト解説者として出てきた当時ヤクルトの広沢克実を思い出す。この試合の読売先発・槇原のクセを当時のヤクルトは読み切っていたらしく、広沢は「この球、フォークですよ」などと言っては的中させ続けていた。槇原というのは対戦相手別の成績が極端に偏っていた投手で、阪神には滅法強かったが中日とヤクルトにはめちゃくちゃに弱かった。ヤクルトが槙原に強かった理由がこの時の広沢のゲスト解説を聞いていて理解できたのだが、広沢がなぜゲスト解説でそんなことをしゃべったかというと、広沢はFAで読売に移籍するつもりだったからだ。この時、広沢の解説を知った落合博満(当時読売、前年まで中日に在籍)は、「そんなことをしゃべるもんじゃない。いつ自分がその投手(槙原)と対戦する立場になるかわからないのだから」と言って広沢を批判した。その時には槙原のチームメイトになっていた落合だが、おそらくこの男はヤクルト同様槙原に滅法強かった中日がつかんでいた槙原攻略法の情報を自軍(読売)に明かさなかったのではないか、そう想像したものだ。そして、落合の予言通り、広沢は阪神にトレードされて再び槙原と対戦する立場になった。しかし、阪神は力の衰えた槙原を打ち崩すことはできなかったのである。

もちろん今日のダルビッシュはあの時の広沢みたいに露骨に企業秘密を垂れ流したわけではなかった。しかし、ダルビッシュの言葉を聞いていて、ああ、この人はもうMLBに移籍する腹を固めているんだなとは感じた。相変わらず読売支配から脱せない日本プロ野球の現状を考えると、その方が良いかもしれないと思った。