玉木雄一郎が消費税率5%への減税を打ち出し、山本元号党との連携の期待をにじませるコメントを発したという。
以下、上記リンクの時事通信記事を引用する。
合流協議「粘り強く」 玉木氏、れいわに秋波―国民民主大会
国民民主党は22日、定期党大会を党本部で開き、先送りされた立憲民主党との合流について「協議を粘り強く継続していく」とする2020年度活動方針を採択した。玉木雄一郎代表は消費税減税に言及し、これを掲げるれいわ新選組との連携に期待感をにじませた。
大会で玉木氏は次期衆院選に向け「国民民主の理念、基本政策を堅持しつつ最大限の協力を野党間で行う」と強調。選挙をにらんで執行部人事を行う考えを示した。また、「近い将来、必ずや政権の一翼を担おう」と述べ、党勢低迷からの脱却や党内の結束を訴えた。
(時事通信 2020年2月22日17時41分)
この件と昨日(2/22)公開した弊ブログの記事とを関連付けたツイートを発信された方がおられた。
山本太郎と山本元号党(=希望の党の再来)の迷走を招いたものとは - kojitakenの日記 https://t.co/ArB20yYPX6
— Nadia I'll live MY LIFE... (@Nadia_JdArc) 2020年2月22日
やっぱりOZWの影あるんだ。タマキンがイキナリ消費税について言及しかけたから??と思ってたら。
「小沢一郎の影」は否定しがたいでしょうね。
それ以上に問題だと思うのは、玉木雄一郎の主張が消費税減税に加えて所得税減税もセットにされていることだ。これだと純然たる減税になってしまい、典型的な「小さな政府」を目指す新自由主義政策になってしまう。
もともとの山本太郎の主張では(最近では消費税減税のことしか言わないに等しい状態になってはいるが)、消費税減税と所得税の累進性再強化及び法人税増税とがセットになっていたはずだ。その線ならば私も支持する。但し、現在山本太郎が行っている、消費税減税シングルイシューの、いわば「人質」のような形にして利用する政治手法には全く賛成できないが。
玉木の主張はそうではない。玉木の構想は時限的なものらしいが、一時的な減税により、1980年代の言葉遣いを借りれば「民間活力の活用」を図るというものだ。
ちなみに、小沢一郎が1990年代にブチ上げたのは、所得税と法人税の大幅な減税と消費税の大幅な増税を組み合わせる構想だ。そこから消費税増税を省いたのが、2010年以降に名古屋市長・河村たかしの「減税日本」が訴えるようになった所得税減税で、これは典型的な新自由主義経済政策だ。
世界的に税制がどう設計されているかといえば、アメリカのような「小さな政府」の国は直接税中心で、北欧のような「大きな政府」の国では間接税の占める比率がかなり高い。
80年代から90年代の日本政府(特に玉木雄一郎が奉職していた大蔵省=現財務省や、小沢一郎のような新自由主義志向の政治家)は、政府の規模はアメリカ的に小さいままで、直間比率のみ福祉国家である西欧や北欧に合わせようとした、現在の目から見れば、欧米よりも格差の大きな社会を目指したトンデモ政策を掲げていたといえる。
今回の玉木雄一郎の発言も、上記の流れの惰性から発したものであって、これは看過できない。
一方、山本太郎の口からは「再分配」の言葉があまり発せられなくなり、「減税、減税」とばかり言っている。だから玉木雄一郎がすり寄るし、河村たかしの支持層からも「仲間」とみなされる。当然ながらこれも大問題だ。
とはいえ、このような流れは小沢一郎が大いに歓迎するところだろう。
共産党と山本元号党の両方を支持する人たちからは、共産党が立民や民民と山本党のブリッジ役を担うことを期待していたようだが、小沢の思惑はそうではなく、国民民主党こそ「野党共闘」(立民・共産・社民)と山本党とのブリッジ役を担うというもので、経済政策の構想も、共産党と山本党を支持する人たちが期待するものよりもずっと新自由主義的なものだと考えるほかない。
だから、彼らに対する思い切った批判的言論が欠かせないと思う今日この頃だ。