kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

サッカーW杯、韓国が奇跡の決勝トーナメント逆転進出/VARが決めた日本の勝利/野球のボール・ストライク判定へのビデオ導入に反対する江川卓を嗤う

 韓国がオーストラリア、日本に続いてアジア勢3か国目のサッカーW杯の決勝トーナメント進出を決めた。オーストラリアはアジアではなくオセアニアの国だが、2010年大会の予選からアジア予選に組み込まれているのでアジア勢としてカウントされている*1

 結局GLで敗退したのはジャイアントキリングを最初にやったサウジアラビアだけだった。日本の場合は複数国を倒したので「ジャイアンツキリング」*2になる。韓国が勝てば逆転で決勝トーナメントに進む可能性があることは知っていたので、日本に刺激を受けたに違いない韓国もやるのではないかとひそかに思っていたが、本当になるとさすがに驚いた。日本対ドイツ戦で、サウジがアルゼンチンをやらかしたから日本もやるかもしれないとは思いつつも、さすがに無理だろうなと思ったらやってしまったのと同じ驚きだ。

 リベラル・左派の中には「スポーツは麻薬だ」みたいに見下す風潮があるが、それは間違っている。長年のプロ野球ファン*3でもあり、他にも一時期熱心に見ていた競技がある人間として確信できることが2つある。1つは、超一流のアスリートのパフォーマンスに見られる創造性は、超一流の芸術家のそれに比肩すべき者であることだ。スポーツも芸術も「死」と向き合う人間の営為を、殺し合いではない形に昇華させたものだ。「サドンデス」「自殺点」「併殺」などなど、現在では使われなくなった言葉が示す通り、団体競技の源流は殺し合い(戦争)だ*4。もう1つは、これは1点目よりもはるかにわかりやすいけれども、スポーツには人間心理が結果に大きく反映されることだ。雑誌などでも団体競技の指導者を組織論に当てはめる記事はよく読まれる。いや、現実の政治家でも昨日の記事で例に挙げた故宮本顕治がプロ野球・読売の監督だった故川上哲治を尊敬していた例がある。これは私にとってはネガティブな事例*5だが(笑)。

 サウジアラビアにできるのなら俺たちにだって、という心理が心のどこかにあったからこそ、ドイツとスペインの「ジャイアンツキリング」ができたのだろうし、日本がやったのだから俺たちだって、と思った韓国がやはり試合開始早々に失った1点を前半に追いつき、最後にはアディショナルタイムでの得点で勝ち、並行して行われたもう一試合の結果にも助けられて決勝トーナメントに進出した。

 私はナショナリストだとは思わないけれども日本代表が勝てばやはり喜ぶし、アジアの国の代表がヨーロッパの国の代表に勝っても喜ぶ。アジアでなくてもFIFAランキングの低い国が番狂わせをやるのにも大ウケするし(このあたりはスワローズファンの習性だろう。現在は「村神様」降臨中の例外的な時期なのだ)、その意味では今回のW杯で最大の痛恨事は「コスタリカの奇跡ならず」だった。韓国の決勝トーナメント進出も良いけれども、日本を破ったコスタリカにも似て韓国を破ったガーナ(今回の出場チーム中FIFAランキング最下位だったらしい)が決勝トーナメントに進出しても良かった。こんなことを書くと日韓双方のサポーターからしばかれそうだが、勝ち負けなんか時の運ですよ。

 もう一つ、今回のアジア勢、というか日本の躍進を助けた大きな要因はビデオ判定(VAR)だった。

 

 

 スペイン戦の2点目の場面、私も眠い目をこすりながらテレビで見ていたが、映像を見る限り外に出ているようにしか見えなかった。しかしVARはゴールと判定した。上からの画像を見る限り、確かにスレスレでラインと重なっているように見える。

 機械は忖度しない。VARがなければ日本の同点ゴールはなく、予定調和的にスペインとドイツが決勝トーナメントに進出していた可能性が高い。

 スワローズファンなら先の日本シリーズ第1戦の1回裏に、オスナがバファローズスーパーエース・山本由伸から三塁線スレスレの先制二塁打を打ったシーンを思い出したに違いない。あれはリクエストの対象外なのでビデオ判定はされなかったが、打球角度が三塁ベースの付近で急に大きく変わった動画がTwitterなどで拡散された。あの打球の変化は単なるグラウンド上の凸凹で起き得るものではなく、三塁ベースの角または側面に当たって起きた蓋然性が極めて高い。つまりどう考えてもフェアの打球であり、審判の判定は正しかったとしか言いようがない。

 しかし日本のTwitterでは「誤審」の大合唱が起きた。それも、スワローズの対戦相手だったバファローズのファンではなく、阪神ファンが大合唱していた。現在は読売ファンよりも阪神ファンの方が数が多いから、奴らは群集心理で数の力を恃んでいるのである。理屈ではあの打球はフェアでしかありようがないのだが、奴らは「嘘を100回言えば本当になる」とでも考えているのだろう。

 日本シリーズ第4戦でオリックスがみごとな継投でヤクルト打線を抑え込んだ時、ヤフコメに「ヤクルト打線を抑えられるのはオリックス投手陣だけ」と喜んだバファローズファンのコメントに激高したのも阪神ファンだった。その前の横浜DeNAベイスターズとのクライマックスシリーズで、敵地・横浜スタジアム阪神ファンがやらかした「六甲おろし」大合唱とそれをめぐるネットでの同ファンの傍若無人さも大いに不愉快だった。

 今の阪神ファンは、読売人気がほぼ頂点にあった1983年頃の読売ファン気質と酷似している。あの年の日本シリーズで読売ファンは「後楽園で西武を応援するなんてだっせー」などと、数の力を恃んだありようだった。私はそれに強く反発したものだ。その5年前に読売は「江川事件」で世の指弾を受けていたはずなのに、「勝てば官軍」なのかよ、と思った。あの頃の読売ファンと今の阪神ファンはそっくりだ。だから、弊ブログに一時よくコメントを下さった阪神ファンの無識者(風来坊)さんには誠に申し訳ないけれども、私は今年のポストシーズンを機に、読売球団に対する強い嫌悪に迫るくらいにまで阪神ファンが大嫌いになってしまった。読売との伝統の一戦が盛り上がれば良いなどとの妄言を発した阪神岡田彰布監督にも強い敵意を抱いている。私としては、今年8月下旬や古くは1997年と同じように、来年もスワローズとベイスターズの優勝争いになれば良いと思う。

 MLBではボール/ストライクの判定も機械化されると聞くが、おそらく日本プロ野球にも導入されるだろう。かつての王ボール・長嶋ボールのような弊害はいずれなくなる。

 それでなくても、おそらくどのスポーツでも同じだろうが、予定調和的な判定はしばしばなされてきた。古くからのスワローズファンなら1990年開幕戦での「篠塚のインチキホームラン」は忘れられないだろう。少し前に見た2003年の阪神ダイエー日本シリーズ第4戦でも、1回裏の阪神の3点先制をもたらした赤星の盗塁は、テレビのリプレーでもはっきりわかるアウトの大誤審だった。結局このシリーズはダイエーが4勝3敗で勝ったから最終結果には影響がないが、あの誤審がなければおそらく第6戦で決まっていただろう。かつては後楽園/東京ドームでの読売や甲子園での阪神ホームタウンディシジョンに大いに助けられてきた。一方、スワローズやホエールズベイスターズなどの弱小球団にはあまり恩恵はなかった。それらがなくなるだけでも大きな進歩だし、今後はどの競技でも番狂わせが増えるだろう。

 脱線ついでにさる読売OBの悪口で記事を締めたい。

 読売OBの江川卓はボール/ストライクの判定にビデオを使うのは止めてほしいと言っていた(先週のTBSテレビ「サンデーモーニング」)。私が苦々しく思い出すのは、先にも述べた読売絶頂期の1983年に読売が後楽園でヤクルトに勝ってリーグ優勝を決めた試合*6で、胴上げ投手は先発・西本聖をリリーフした江川だった。その江川が最後にマルカーノ(元阪急。引退後読売球団に仕えたが若くして亡くなった)から奪った見逃しの三振のカーブは、私にはボールにしか見えなかった。江川卓西本聖のストライクゾーンはめちゃくちゃに広いぞ、などと当時言われていた。

 だから江川はボール/ストライクの判定に機械が導入されるのが嫌なんだろうな、奴は読売入団の経緯からしてインチキだったもんな、そういやあの時にも阪神は読売に加担したよな、などと嫌なことを次々と思い出して大いに不愉快になった次第。あ、また阪神の悪口が挟まってしまったか(笑)

*1:https://www.football-zone.net/archives/74934

*2:余談だが、中日スポーツがドイツ代表を「W杯優勝4度の巨人が、まさかの2大会連続1次リーグ敗退に追い込まれた」と評したことには笑ってしまった(https://www.chunichi.co.jp/article/593258?rct=soccernews)。この場合の「巨人」は普通名詞なので弊ブログのNGには当たらない。しかしこの記事を載せたのが中日スポーツだけに、ある意味を込めたのではないかと勘繰ってしまった。

*3:但し私は阪神ファンの多く(一部の例外を除く)と読売球団が大嫌いで、ことに後者についてはあんな球団は存在すべきでないとさえ考えている。

*4:だからといってチームを「××軍」と呼ぶなどという愚行は全く受け入れられないことはいうまでもない。

*5:ネガティブな事例の最たるものは、故安倍晋三が「ヤクルトファン」だったことだ。

*6:当時私はまだヤクルトファンではなかったが、大のアンチ読売だった。私のアンチの度合いを決定的に強めたのは「江川事件」だった。