ちょうど1年前の今頃にも山本太郎が陰謀論をかましていたのだった。
山本が東京・府中駅前で行った街宣の動画を貼り付けた陰謀論全開のツイートが発信されてそれが大炎上したが、元の動画つきツイート、これは私も見たことがあるのだがが、残念ながらいつの間にか削除されてしまったので現在では見ることはできない。だがそれへの反応から山本の演説のトンデモぶりが伝わってくる。
ヤッバ!もう目が飛んでるじゃん
— シスコ (@mOm8Q8pNLzrywhe) 2022年5月24日
・非難決議に反対したのはみんなが賛成してるから(逆張り)
・戦争が終わらないのはバイデンのせい(意味不明)
・米国はすぐにこの戦争を終わらせられる(どうやって?)
全ての主張が意味不明、根拠も具体性もない
非難決議の反対理由も最初と全然違う https://t.co/9zIKInJ0CY
どんな政治家でもダメな部分はある。
— プラタナス (@platanus416) 2022年5月24日
しかしこれは言論人として致命的で、批判して山本太郎本人に少しでもメディアリテラシーを意識するように野党共闘支持者こそ迫らないといけない。過去の批判を全く聞いてないどころか、むしろ悪化して馬渕睦夫やQアノンとほぼ同レベルに迫ろうしている…。 https://t.co/KayF3qF5xE
これは。。。是非テレビで同じ事を発信して欲しい。①バイデンはビジネスでウクライナ侵攻を止めない②G7と足並みを揃えず制裁はせずに露の窓口になるべき③プーチンさん④経済制裁は長期化する⑤ウクライナ国民が苦しんでるから長期化する露の制裁をやめよう⑥報道が宇の味方目線に統制してる https://t.co/ZEYQkA8ofN
— kenkenken (@gogotomatoto) 2022年5月24日
バイデン呼び捨てで「プーチンさん」としつつ「ウクライナ国民が苦しんでる」と。
— kenkenken (@gogotomatoto) 2022年5月24日
むしろ山本太郎の言ってる内容が、戦前に誤った方向に日本を導いた政治家(軍部)の言い分なんだよ
— KSL-Live!(竹本てつじ) (@ksl_live) 2022年5月24日
完全にヤバいカルトになってる https://t.co/b4dRzEcKYk
ちょっと考えられないほど酷い。日本第一党を越えている。人類の敵レベル。山本太郎と、れいわと、今でもれいわを支持している人を心底軽蔑する。一挙にネトウヨを飛び越えてしまった。 https://t.co/2bIK3gyFRp
— 石田昌隆 (@masataka_ishida) 2022年5月24日
ちょうど1年前というのも道理で、去年もG7に合わせて山本が妄言を発していたわけだ。ただ、去年は街宣だったが今年は国会で発した。「人類の敵」は大袈裟かもしれないが、山本太郎が「民主主義の敵」であるとは十分にいえる。
もっともそういう主旨の記事は既に書いたことがある。
上記は昨年4月9日公開の記事で、安倍晋三はまだ生きていた。上記記事でも私は山本太郎と橋下徹を同じ「ファシスト」のカテゴリに入れて叩いている。維新と新選組、略して「維新選組」と言っても良いかもしれないが、両党が同じ穴の狢だとは去年から書いていたのだった。
その記事の冒頭にプーチンの「大ロシア主義」について書いたが、今回はプーチンと思想が似ていたらしいロシアの作家、アレクサンドル・ソルジェニーツィンとプーチンを取り上げた岩本和久・札幌大学教授の文章を紹介する。昨年の「週刊エコノミストOnline」に掲載された。
以下引用する。
「大ロシア主義」で一致する作家ソルジェニーツィンとプーチン大統領の決定的な違いとは 岩本和久
帝政ロシアをたたえ、ロシア人とウクライナ人の一体性を強調した作家ソルジェニーツィン。その理念はプーチン大統領と重なるが、両者には大きく異なる点がある。
ウクライナ戦争をめぐる報道には、ロシアを絶対的な悪とみなす「悪魔化」が目立つ。あたかも冷戦期の東西対立が繰り返されているかのようだ。だが、社会主義と資本主義の対立、「自由なき社会」と「自由な社会」の対立であった冷戦期と、今の状況はきちんと重なるものではない。
たとえば、ノーベル賞作家のアレクサンドル・ソルジェニーツィン(1918~2008)はソ連政権に迫害され、欧米社会に支持されたわけだが、帝政ロシアを讃えるその思想は、ソ連体制はもちろん欧米の民主主義とも対立するものであり、むしろ、強権的なプーチン体制に重なるのである。ソルジェニーツィンが西側社会と立場を同じくしたのは、反ソという立場だけだ。事実、彼の保守性や反ユダヤ性は、西側社会から批判されてきた。
ソルジェニーツィンは亡命先のアメリカで欧米社会を批判し、ソ連解体後にロシアに帰国すると、今度は新生ロシア社会を批判した。01年にはユダヤ人を問題視する大著『200年を共に』を発表する。反動的なその姿は、当時のロシアの政治家や市民を当惑させた。
『甦れ、わがロシアよ』でウクライナ人との一体性強調
そのような評価を一変させたのがプーチン大統領だ。プーチン大統領は2000年に大統領に就任するや、すぐさまソルジェニーツィン邸を訪問した。しかも、クレムリンに招くのではなく、自ら足を運んで礼節を示したのである。
帝政ロシアをたたえるソルジェニーツィンの思想をなぞるかのように、プーチン大統領は国家を統治してきた。ソルジェニーツィンは08年にこの世を去ったが、ロシアによるウクライナ侵攻もまた、ソルジェニーツィンの支持する大ロシア主義と重なるものだ。ソ連解体直前の90年に発表した『甦れ、わがロシアよ』の中でソルジェニーツィンは、ロシア人とウクライナ人の一体性を次のように強調し、地元住民の要請にしたがってウクライナの一部の州がロシアに併合される可能性を示唆する。ウクライナ東部の分離やクリミアの併合を予言するかのように。
「わが民族が三つに枝分かれしたのは、あの蒙古襲来というおそろしい災難のためと、ポーランドの植民地になったためである。ロシア語とは違う別の言語を話していたウクライナ民族がすでに9世紀頃から存在していたという説は、最近になってつくられたまっ赤な嘘である。われわれ全員があの高貴なキエフ・ロシアから出ている」
「兄弟たちよ!こうした残酷な分離はやめようではないか!それは共産主義時代の忌まわしい産物ではないか」
「もちろん、もしウクライナ民族が実際に分離を望むなら、それを無理に抑えることは誰にもできない。しかしながら、国土の広い国は多様である。地元の住民は自分たちの地方、自分たちの州の運命を決めることができる」(木村浩訳)
「反欧米」でも理念重なる
プーチン大統領はソルジェニーツィンを迫害したソ連の秘密警察KGBの将校だった。かつては敵対する陣営に属していた2人が和解できたのは、欧米とは異なる道を探るという立場を共有できたからだろう。反プーチンの作家エドゥアルド・リモノフ(1943~2020)の思想もまた、反欧米という点においてプーチン大統領の理念と重なる。
ソ連の不良少年だったリモノフはアメリカに亡命し、そこでのすさんだ生活を『ぼくはエージチカ』などの自伝的小説にまとめ、スキャンダラスな話題作家となった。その後、90年代にはセルビア人側の義勇兵としてボスニア紛争に参加し、ロシアでは「国家ボリシェビキ党」を結成する。ナチスの赤い旗の中央に、鉤十字の代わりにソ連の鎌とハンマーを据えたこのネオナチ政党はプーチン体制によって弾圧され、非合法化された。リモノフ自身も繰り返し逮捕、投獄された。
とはいえ、リモノフの思想もプーチンの理念と大きく異なっているわけではない。「国家ボリシェビキ党」の共同創設者である(後に離党した)アレクサンドル・ドゥーギン氏(1962~)は、ロシアを中心にユーラシア大陸の帝国化を目指すユーラシア主義の思想家であり、ウクライナ戦争においてもプーチン体制を支えている。
現代ロシアの人気作家ザハール・プリレーピン氏(1975~)も「国家ボリシェビキ党」の党員であり、14年にすでに義勇兵を率いてウクライナ戦争に参加していた。ウクライナの東部や南部はロシア領とすべきだというリモーノフの考えが、現在の戦争を30年前に予言したものとして、プリレーピンによってふたたび取り上げられたりもしている。
利用された従軍作家の愛国思想
つまり、ウクライナとロシアの一体性という発想は、プーチン大統領によって新しく作られたものではない。それらは30年前のソ連解体期から用意されていたのだ。そのような民族主義的・愛国的な思想をプーチン大統領が改めて採用したのである。
とはいえ、忘れてはならない点が二つある。ソルジェニーツィンもリモノフも誇大妄想の思想家ではなく、実際に戦争を体験したリアリストだということだ。ソルジェニーツィンは第二次世界大戦に従軍し、戦場から収容所に送られた。彼がロシア革命を描いた大作『赤い車輪』も主人公は軍人であり、第一次世界大戦のタンネンベルグの戦いから開始される。リモノフはボスニア紛争に参加しており、その姿勢はプリレーピンにも受け継がれている。
もう一つの忘れてはいけない点は、ソルジェニーツィンもリモノフも多数派に異を唱えた異論派だということだ。2人とも敗者の味方だったのだ。そして、ソ連やソ連後の体制にあらがっていたがゆえに、欧米社会から支持されていたのである。
政治家であるプーチン大統領と作家を明確に分けるのは、この点だ。プーチン大統領はあくまで権力者で強者なのだ。
(岩本和久・札幌大学教授)
(週刊エコノミストOnline 2022年9月30日)
URL: https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20220928/se1/00m/020/008000d
プーチンはソルジェニーツィンともども「反動」の一語で表される人間だといえる。故安倍晋三という日本を代表する反動人士がプーチンに惹かれたのも当然だ。
もちろん、山本太郎や橋下徹、鈴木宗男、佐藤優らもプーチンや安倍の同類だ。
山本太郎の「あなたを幸せにしたいんだ」という言葉は「俺に権力を寄越せ」という彼の別の言葉に直結する。自分の気に入った人々を「幸せにする」権力者になることを山本は夢見ている。徹底的なエゴイストと認定される。それが反映されているのが新選組規約の独裁条項であり、自らの政党に冠された元号であり、新選組なる江戸時代末期のテロリスト集団名だ。
山本太郎はまた、強烈なパターナリズム(家父長主義あるいは父権主義)も感じさせる。それと呼応してか、さるブログのコメント欄で山本の信者とおぼしき人が書いた強烈な反LGBT論も目にした。
ところで、ウクライナ(やベラルーシ)がロシアの一部であると信じて疑わない大ロシア主義者の発想は、プーチンや故ソルジェニーツィンといったロシアの反動勢力のみならず、日本の極左と極右も共有している実例を、最近弊ブログのコメント欄で知った。極左については他ならぬ元号新選組に属する大石晃子の実例があって知っていたが、なぜ大石が「ロシア分割の利益を狙う者」などと書いたのか私には全くわからなかった。しかし弊ブログの下記記事に極右と思われる人物が下記のコメントを書き、それに突っ込みが入ったのを見て、彼ら極左と極右に共通する思考をようやく理解したのだった。
疑問
管見人
なるほど、この「疑問」氏のように「ロシアの解体」を狙う右翼は確かにいるわけだ。大石晃子はそういう人たちに敵意を燃やしているのだろう。やっとわかった。
問題は、「疑問」氏にせよ大石晃子にせよ、プーチンやソルジェニーツィンらの「大ロシア主義」を当然の前提として思考しているところにある。だから侵略者への抵抗であるウクライナの戦争を「ロシアの解体」と捉え、それを応援しているのが右翼(あるいは極右)である「疑問」氏の発想だ。
一方、大石は前記「疑問」氏のような人たちに反発し「大ロシア帝国」を守ろうとする発想だ。こちらも現実にウクライナが1991年8月24日にソ連から独立して大石のツイートの時点で30年以上経過したことを無視する暴論である。「疑問」氏も大石もプーチンの「大ロシア主義」と同じ発想をする権威主義者あるいは大国主義者であると断定できる。
だから極右も極左も危険なのだ。現在の元号新選組はそんな極右と極左が権威主義、大国主義、パターナリズムといった共通点のもとに同居した政党だといえる。
リベラルや左派はいい加減に山本太郎(や大石晃子)とその一味を切断処理すべき時だろう。
もっとも、かくいう私も今回のロシアによるウクライナ侵略戦争が始まる前には、ロシアとウクライナとは切っても切れない関係だろうに、なんでキエフを急にキーウなどと呼び変える必要があるのだろうかなどと漠然と思っていた。だが、それはたいへんな誤りだった。その頃の私と同じような思考をされている方には、少し古いけれども2002年に刊行された下記の中公新書を読まれることをおすすめしたい。
私は昨年末に上記中公新書を読んで、自らの蒙(もう=無知)を啓(ひら)かれた。文字通りの啓蒙書である。
これ、どういう思想で入管法にはれいわは反対派してるの?「国益」優先なら賛成やろ。
日本の多数派はロシアが解体されたり、ウクライナ勝利した方が安全保障でも領土変換でも「国益」なる面もあるから左翼(中道左派除く)と反米極右以外はウクライナ支援しているのにさ。