kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

酒井菜摘選挙事務所予定地に酒井、長妻昭、宇都宮健児各氏の三連ポスターが貼られていた。2020年都知事選の対決構図が思い出される

 昨日(4/11)の記事で触れた衆院東京15区補選に出馬を表明した酒井菜摘氏の選挙事務所の件だが、昨日の時点ではまだ三連ポスターが貼られていただけだった。その三連ポスターは、酒井候補予定者の両脇を立民都連会長の長妻昭都知事選に何度か出馬した宇都宮健児の両氏が固めている。これを見て思い出したのが2020年都知事選の対決構図だった。

 その前の2016年には共産党が宇都宮氏と決裂して「野党共闘」で民進党山本太郎らと一緒に鳥越俊太郎を担いだが、あと出しジャンケン的に出てきたのかどうかは忘れたが小池百合子に大敗した。この敗戦について民進党内では長島昭久だの前原誠司だの細野豪志だのといった右派が当時代表だった岡田克也の責任を云々し始めたので、切れた岡田が先手を打って党代表を投げ出し、その結果「小池百合子さんの背中を眩しく見ていた」とか抜かした蓮舫民進党代表になった。小池を礼賛するとはなんたることか、と怒った私は、蓮舫代表に対してこのブログで一貫して批判的な論調をとった。その翌年に「希望の党」騒動が勃発した。

 「希望の党」騒動で小池や前原や細野に排除された人たちが軸になって結成された旧立民は、2020年都知事選では「野党共闘」で2016年には共産党から切られた宇都宮氏を、氏とよりを戻した共産党などと一緒に担いだが、それに反旗を翻したのが山本太郎だった。だからこの選挙は小池、宇都宮、山本の3人の争いになったが小池が圧倒的に強いことは戦前からわかっていて、興味の的は2位争いだった。私は2014年都知事選ではそのさらに前の選挙陣営で問題を起こしたことがある宇都宮氏は支持できないけれども小泉純一郎の応援を受けた細川護煕など論外だとして白票を投じたが、当時の白票主義はその後捨てた。2016年には、鳥越俊太郎など支持できないけれども、小池百合子に対する拒否の態度表明は絶対に必要だと思ったので「鼻をつまんで」鳥越氏に投票したが、2020年都知事選では、小池と山本の二候補に対する断固とした「ノー」の意思表示として、今度は積極的に宇都宮氏に投票した。2位争いでは宇都宮氏が山本に勝った。

 その宇都宮氏が酒井氏の三連ポスターに映り込んでいるのを見て、ポスターに酒井氏が候補者に選ばれたプロセスが反映されていることを感じた。

 ネットでちらっと見たのは、革新懇云々という団体、これはおそらくこれまで「野党共闘」で宇都宮氏や鳥越俊太郎らを担いできた人から構成されているのだろうが、どうやら彼らは手塚に、あんな須藤元気なんかを担いでくれるなと申し入れしたようだ。共産党が須藤には乗れないと言ったらしいのもそれを反映しているのだろう。この動きに須藤が反発し、出馬を強行したものだろう。私はこの経緯において、おそらく初動の段階で主体的に動いたのは「生まれも育ちも江東区」という須藤であって、それに手塚仁雄が良い顔をしてしまったのだろうと推測している。つまり、2021年の衆院選東京8区の騒動に続く手塚の失策だったと考えているわけだ。須藤は当然ながら2020年都知事選で立民の都連や当時の枝野執行部を裏切って山本太郎を応援した経緯もあり、山本を頼りにする。しかし山本の配下である櫛渕万里は昨年の江東区長選で酒井菜摘を応援した。つまり山本は補選では須藤と酒井のどちらにも乗れない。ただ心情的には山本は強烈に須藤寄りであろうことは想像に難くない。そのあたりを苦慮した手塚が持ち出したのが東京14区と22区における立民と新選組の選挙区調整であろう。山本側からではなく手塚側からの申し入れであろうと私は推測している。

 これは外形的には明らかに山本が「野党共闘」に傾斜を見せた形だ。しかし、どうやら手塚には独断で話を進める悪い癖があるようだ。2021年衆院選及びそれ以降の東京4区、8区、15区において、候補者たちにろくな説明もしないまま、人間を駒のように動かして当人たちに強い痛みを与えた。これが手塚という無責任な人間の本質だろうと私は考えている。私がもっとも強く嫌うタイプの人間である。ただ、東京15区における井戸まさえ氏の冷遇に関しては、2021年の党代表選で総支部長の早期再任を公約したらしい泉健太の責任「も」絶対に免れ得ないと考えている。ただ、もっとも強硬に井戸氏の再任を拒んだ人間は手塚だったのではないかとの心証を現在は持っていて、泉は維新に東京15区を譲り渡すつもりでも持っているのかという、これまでの私の陰謀論仮説はどうやら間違っていた可能性が高いとは思っている。漏れ伝わる手塚の動きから類推して手塚主犯説に傾いているのである。

 山本は、立民と手を握ったのではないかとの風評を打ち消すためか、野党共闘には乗らないと言明した。それが4月4日頃のことらしく、私はその時点ではXのアカウントを開設していなかったため、この情報をキャッチするのが遅れた。この声明とともに、東京14区での選挙区調整の話がどうやら共産党には伝えられていなかったらしく*1)、こちらに話はしないわ野党共闘に参加しないと明言するわと、いったい何だと腹を立てた結果が、東京14区への候補者擁立内定なのであろう。

 以下、政治おじいちゃんお化け氏のX及び氏のリポストより。

 

 

 これは櫛渕万里にとってはきわめて痛い動きのはずだ。というのは、東京22区は多摩地区なので新選組や立民はそれなりに強いが、下町の東京14区は公明や共産が強くて新選組や立民は弱いからだ。

 共産党新選組のみならず、暴走することがきわめて多いように見える手塚仁雄にも激怒しているのではなかろうか。今回も相当程度に須藤元気を増長させてしまったことは腹立たしい限りだ。選挙区の棲み分けでも共産党を怒らせたということは、手塚の暴走癖は相当にひどいのではないかと疑われる。立民は手塚都連幹事長を一日も早く更迭すべきではないか。

 

 

 これについては、山本には「お前が言うな」というほかない。2020年の都知事選では、あの小沢一郎をも怒らせてしまったほどだ。「相手の嫌がるような擁立」をいつもやってきたのは他ならぬ山本太郎新選組だった。

 まあしかし新選組山本太郎)にせよ共産党にせよ立民にせよ、組織を牛耳る権力者たちの動向(争い)ばかりが注目されて、「組織と人間」に思いを致す人がきわめて少ないことは、昨日も書いたけれども嘆かわしい限りだ。そういや以前、お前は誰に帰依するのか立場をはっきりさせろとコメント欄に書いてきた馬鹿がいたっけな。思い出すだけで腹が立つ。

 今日は紙屋高雪氏の下記ブログ記事へのリンクで締めくくる。

 

kamiyakenkyujo.hatenablog.com

*1:このあたりの拙速さはいかにも手塚らしい。先日の井戸まさえ氏のXからも、手塚が東京8区でも候補者に何も伝えないまま山本との裏工作に突っ走っていたらしいことが読み取れる。

国民民主、乙武洋匡氏の推薦決定を見送る 衆院東京15区補選(毎日)

 昨日は衆院東京15区補選に出馬表明した酒井菜摘氏の選挙事務所が、3年前の衆院選で井戸まさえ氏の選挙事務所に使われた同じ場所に開設されようとしているのを見た。プレハブの建物で、以前は「甲浦(かんのうら)漁港 産地直送」と看板に銘打たれた居酒屋があったがコロナ禍で閉店した。甲浦といえば高知県徳島県との県境から入ってすぐのところにある漁港で、かつては甲浦村転じて甲浦町だったらしいが、1959年に自治体の合併によって東洋町に属するようになった。なんだ、東陽町ならぬ東洋町から木場への産地直送かよと、あのあたりの住民しかわからないネタでひそかにウケていたのだった(当時の居酒屋、現酒井菜摘選挙事務所は地下鉄木場駅近くにあり、東陽町に隣接している)。そういえば3年前の衆院選の時には事務所から出てきた井戸氏から声掛けされたこともあったのだった。こちらは急いでいたし、井戸氏もその日の出陣だったようで、二言三言聞いただけで終わってしまったけてども。昨年の区長選では大久保朋果現区長の事務所開きの日の夕方、区長選で酒井氏らを破って当選した大久保現区長本人と接近遭遇したこともある。このことは弊ブログに以前書いた。なお酒井氏の現選挙事務所は、その前にはダンスの練習場に使われていたようだが、あまり頻繁には使われていなかったのではないか。少なくとも建物から人が出入りしたのを見たことはなかった。

 結局民民(国民民主党)は乙武洋匡の推薦を見送った。自民が推薦するならうちは推薦しないなどとわけのわからないことを言っていたが、自民が何も決める前から推薦を見送ったのは、各党の中で一番早く乙武の推薦を仄めかしておきながらの翻意だ。

 

mainichi.jp

 

国民民主、乙武洋匡氏の推薦決定を見送る 衆院東京15区補選

毎日新聞 2024/4/10 17:01(最終更新 4/10 20:35)

 

 国民民主党は10日、国会内で両院議員総会を開いた。衆院東京15区補選(16日告示、28日投開票)に出馬予定の作家、乙武洋匡氏の推薦決定は見送った。総会後、舟山康江両院議員総会長は「乙武氏から推薦依頼が出されなければ推薦することはない」と語った。

 

 乙武氏は小池百合子東京都知事が主導して擁立し、8日の記者会見では各政党に対し、「推薦依頼を出している事実はない」と述べていた。国民民主は小池氏と選挙協力を進めてきたが、自民党乙武氏を推薦する可能性を懸念する意見がある。玉木雄一郎代表は「自民党との相乗りは想定できない」と説明している。【田中裕之】

 

URL: https://mainichi.jp/articles/20240410/k00/00m/010/222000c

 

 ところが玉木雄一郎らの懸念が解消される可能性が出てきた。

 

www.47news.jp

 

乙武氏の推薦見送り案が浮上 自民、東京15区補選で

2024年04月10日 18時54分

 

 衆院3補欠選挙(16日告示、28日投開票)の一つである東京15区補選に無所属で出馬する作家乙武洋匡氏を巡り、自民党内で推薦を見送る案が浮上した。推薦を検討していたが、乙武氏から正式な依頼がなく、関連の手続きを進められないと判断したためだ。過去に報道された乙武氏の女性問題に対し、自民内で反発が出ていることも影響しているとみられる。複数の関係者が10日、明らかにした。支援の在り方は引き続き協議する。

 

 乙武氏については、小池百合子東京都知事が特別顧問を務める地域政党が設立した「ファーストの会」が推薦する見込み。独自候補擁立を見送った自民は、小池氏が立てる候補に相乗りする算段だった。

 

共同通信より)

 

URL: https://www.47news.jp/10772709.html

 

 普通に考えれば、自民が推薦を止めるなら、もともと乙武に難色を示していた公明も止めるだろう。そうなると、ファ◻︎ストの会単独の推薦になるが、最大の頼みである公明の組織票が得られなければ乙武に勝ち目はない。そうなると、最初から負けがわかっている候補を推薦する必要などないからファ◻︎ストの会も推薦しない。これではどうしようもないから乙武が出馬を取り止める。こんな展開も見えてくるのだが、はてさてどうなることやら。

 ところで、あまり言われないことだが、私は今回の補選の行方を決定するのは、これまでの衆院選柿沢未途に投票していた人たちが誰に投票するかということだと思う。

 彼らこそ江東区政治勢力でもっとも多数を占める人たちだからだ。

 たとえば前回の衆院選では、柿沢は自民党都連が執着していた下村洋史、この極右人氏は立民から藤原規眞氏が立候補を予定している愛知10区から自民党公認で出ようとしてなかなか公認を受けられなかった弱小候補のようだが、その下村の3倍近い得票で圧勝した。私が投票した井戸まさえ氏も健闘したのだが、前回は維新の金沢結衣に反自民票をかなり食われて比例復活はならなかった。私が常に金沢を強く警戒するのは、この選挙で手痛い目に遭った印象が強いからだ。

 ところが柿沢は2014年衆院選では、維新の党という、日本維新の会(旧)と結いの党が合同してできた政党の公認を受けて当選した。つまり金沢とも一定の親和性がある。しかしその後維新の極右系と分化して民主党と合流した民進党に属したし、例の「ごまかすために雪を食った」酒気帯び運転で議員辞職した都議の頃には民主党に属していたから、旧民主系とのパイプもある。自身は希望の党に行ったものの、民民には行かずにしばらくは無所属で、2019年に酒井菜摘氏が初当選した区議選では、立民の候補にもしきりに接触していた。酒井氏とも一度会ったことがあるはずだ。当時私は、酒井氏はあんな奴には近づかない方が良いぞと、自分は立民でも共産でもない候補に投票することに決めていたくせに気を揉んだものだ。幸いにも酒井と柿沢は一度会っただけで終わったようだ。あの当時、柿沢は立民入りでも画策してやがるのかと強く警戒していたが、結局柿沢は立民には行かずに自民党に行った。でも以上の経緯があるから、柿沢の票は乙武にも酒井氏にも須藤元気にも流れ得る。しかし一番想定しにくいのは単なる極右系、つまり今回は出ないままに終わるのかもしれないけれども山崎一輝が属する自民党安倍派、頼山陽だか飯山満だか紛らわしい名前の人などといった極右系に流れることだ。

 でも、地元では「柿沢党」というらしいのだが、彼らの票がどういう配分で各候補に流れるかは全く読めない。だから、選挙結果がどうなるかは蓋を開けてみなければわからない。その意味でも、立民執行部だか都連だかの一定の人たちに、無所属で出る須藤元気に乗ろうとした動きがあったことは痛かった。

 しかし、小池が切ってきた乙武洋匡というカードは、立民系が結局切るのを踏みとどまった須藤元気以上の悪手中の悪手だった可能性がある。

 結局今回の衆院東京15区補選は、誰が勝っても「勝ちに不思議の勝ちあり」の選挙になると思う。裏を返せば、負けた場合には「負けに不思議の負けなし」である。たとえば金沢結衣が負ければ、それは維新が大阪万博固執して支持率を低落させたせいだということになる。現に江東区長選に維新は誰も予想できなかった大大大惨敗を喫しており、今回の補選にもその影響は残っているとみられる。酒井陣営及び自公ファ系については前述の通り。

 最後に、弊ブログにいただいた長いコメントを紹介する。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 こじこじ

>この国の人々は、あまりにも(身近な=つまり自らが支持する)権力に従順でありすぎるのではないか。言い換えれば、あまりにも権威主義が強すぎるのではないか。
>この状態からいかに脱却するかが、現在のような大きな変革の時代に生きる人々にとっての最大の課題の一つだ。私はそのように信じて疑わない。

もう本当に一言一句同意するところです。しかし同時に、この現実こそがこの国の絶望の深淵そのものではないでしょうか。

この国は、骨の髄まで権威主義に浸かり切っています。しかしそれは、ほとんどの権威主義的行動が無自覚の発露であることを意味しています。無自覚な悪癖を直すことにどれほどの苦労が伴うか、よくご存知のことと思います。そのような苦労を自発的にするように、変革を促すことは可能なのでしょうか? それもこれまで自発的な反抗などしたことがほとんどないような人々に、です。難しいのは、それを強要した時点で既に権威主義的との批判を免れないことです。それはアナーキズムのジレンマにも通じますし、党の体質批判を「反革命」と呼んで激しく糾弾する日本共産党の姿も重なりますが、権威に対抗するためには同じ方向を向いて一つにまとまらなくてはいけないが、それは完全に自発的な意志によるもので強制されてはいけない、という単純かつ当たり前のことを実現するのが洋の東西を問わずいかに難しいことか、いわんや西欧や米国と比較して個人主義の薄弱なこの国においてをや、と思います。

もっと難しいのは、自発的な連帯です。理不尽な権力の横暴に晒されることは、場所にやる濃淡はありますが、確率的な事象であって誰にでも起こりえます。そして本人が晴天の霹靂に怒り抗おうとするのは自然なことで、本人の意識変革次第で(或いはそんなものなくても)十分期待できますが、この国ではそういう虐げられた人を助け、連帯しようとする動きがとてもとても弱い。みんな人ごとだったり、何かあったときの報復が恐ろしいのでしょう。中には抵抗を批判し、嘲笑い、叩き折ろうとする権威主義の権化のような人も大勢いて、ブログ主の主要な批判対象は後者のような「輩」と推察しますが、そうした人、殊に無意識にそうした行動を取る人には自主的な変革など迫るだけ無駄でしょう。必要なのは、そういった個人を迫害する悪意を社会から叩き出すことです。それ自体が権威主義的行動に繋がってしまいうる自己撞着については既に述べましたが、それをさて措いたとても、そうした他人に向けられた悪意に立ち向かう勇気をどれだけの人が持ち合わせているでしょう? 60年・70年安保や全共闘などを引き合いに出さずとも、「反逆者は社会的に抹消される」というナラティブは、既にこの国に広範に敷衍しきっています。迫害を受けた人を助けるには、まずその周囲にいる人たちがこの思い込みを打破し、横に立ち、戦いを支えてやらなくてはいけません。しかし現実には、誰も助けない、或いは助け舟が少なくて、文字通り孤立無援のまま各個撃破されて負けてしまう。「誰も守ってくれない」「頼れるのは自分だけだ」という諦めが、周り回って絶望の社会を自己実現してしまっていることに、みながもっと自覚的でなければなりません。しかしこの思い込みはとても強固で、しかも日ごとに社会的現実がそれを補強し続けているという現状があります。普通の人にその恐怖を乗り越えて連帯せよ、と呼び掛けるのは少し虫が良すぎるでしょう。玉砕覚悟で権威に立ち向かえるような人は少数派です。普通は後に続いてくれる人がいると分かっているからこそ立ち上がれるわけですから。かと言って思い込みを頭ごなしに否定したりするのはあまり良い手段とは言えません。反逆者を体制が潰そうとするのは事実ですし、その危険かあるからこそ連帯しなければならないわけで、そういったごまかしには人はかなり敏感に反応します。結局、一人一人の思い込みを解きほぐし、根気よく説得しなければならないのですが、普段から政治的会話が忌避されることが当たり前になっているこの国で、そうした対話が社会を変えるまでに広がるのに、いったいいつまでかけたら良いのでしょうか。政治が変われば、といった次元ではなく、文字通り一人ひとりの意識変革が必要だからこそ、時間がかかります。世代が丸ごと入れ替わる方が早いのではないでしょうか。

他方、直接に関わらない領域からは、無関心の壁を越えなくてはいけません。インターネットやマスメディアはこの意味で有力なツールですが、既存メディアは完全に既存の権威に染まった対世論向け宣撫組織でしかなく、インターネット世界は現実と接続しない「ネット軍師」と陰謀論者の草刈場と化しています。彼らの権威に転んでしまえば、これまたネットに蔓延る逆張り体制擁護派とのネットバトルや「Twitterデモ」でガス抜きしては何かやった気分になるだけに終わるでしょう。そこから頭一つ抜け出すには現実と接続して、何か意味のある行動を組織するしかないですが、そうなればわっと群がってきた既存の組織にあれよあれよと絡め取られて取り込まれ、バラバラに解体されてから「組織の論理」という名の新たな権威主義で潰される。どこかの権威に潰されそうになっている時に別の権威から手を差し伸べられて、それを手に取らないのは難しいでしょう。ましてやその手の持ち主が良識ある個人主義者の集まりなのか権威的組織なのか見抜くことなど、どだい不可能な話です。まるでヤクザの手口ですが、この国には、個人の反逆を抑制し懐柔し、叩き潰す為の罠が、見渡す限りありとあらゆるところに仕掛けられているのです。そうした「内紛劇」を見せられた市井の人に、無関心に陥らず権威主義入れ子構造を踏まえて適切な反応を、というのは高望みが過ぎるでしょう。おまけに最近は「暇アノン」に代表されるようなネットの悪意をそのまま社会実装したような集団が顕現してきて、実相のレベルで社会運動を破壊してやろうと手ぐすねひいてるような時代です。「政治に関わる奴らはやっぱりうさんくさい」と言われないようにする為には、こうした罠に全く引っかからないように立ち回りつつ、社会的に影響のあるレベルまで活動の幅を広げていくしかありません。そんなこと果たして可能でしょうか。

唯一希望らしきものがあるとすれば、そうした社会的しがらみに囚われず、失敗経験による恐れを持たない若い人や海外出身者による発信や行動でしょう。しかし折からの少子化に加え、教育利権は清和会に連なる権力権威がみっちり詰まっており、外部からの意見も国民挙げての閉鎖志向、排外志向で、聞く耳どころか、そもそも人を入れない、意見は言わせず使い潰す、と徹底しています。体制の恐れの表れとも見えますが、高い期待を持てるような状況にはなく、「個人抑圧」の手段は増える一方になっています。

僕はこの国はもう一種の「技が極まった」ような、恋愛ADVなどでいうところの「ルートが固定された」状態にあって、抜け出せない、変更はもはや効かないものと考えています。「行く先はロシアかイスラエルか」と言っていた人がいましたが、僕は北朝鮮ではないかと思って……まあそんな行き先の違いはどうでもよくて、国の行く末を変えるのが難しいならば、個人のレベルで脱却するには国を出るのが一番簡単という話になります。僕はそこまでして生き残るほどの未練もないしいいや、ということで残りましたが、言ってしまえば世の中の人みな、その程度のこだわりしかないからこういう国こういう社会になっているわけで、社会を変えようなどとは考えず、「望む」通りに滅びに任せる(そして嫌な人は逃げる)ほうが、お互いのため。そういう状況に、もうこの国は来ていると思います。

僕自身もこんなことを言いながら目の前で苦しむ人に助けの手を差し伸べられず、あの時「見殺し」にしたのではないかという後悔がいくつもあります。人間に完璧はありませんが、そのように強く意識づけていなければ(意識していても)人助けもままならない社会になっている時点で、きっと何かがおかしいのです。まあこの場合、おかしいのは僕の方かもしれませんが。

一度文書が間違えてF5で飛んでしまい、記憶を頼りに書き直していたらこんな時間になってしまいました。長文で申し訳なく思います。

 

 特に、下記のご指摘はまさにその通りです。

 

もっと難しいのは、自発的な連帯です。理不尽な権力の横暴に晒されることは、場所にやる濃淡はありますが、確率的な事象であって誰にでも起こりえます。そして本人が晴天の霹靂に怒り抗おうとするのは自然なことで、本人の意識変革次第で(或いはそんなものなくても)十分期待できますが、この国ではそういう虐げられた人を助け、連帯しようとする動きがとてもとても弱い。みんな人ごとだったり、何かあったときの報復が恐ろしいのでしょう。中には抵抗を批判し、嘲笑い、叩き折ろうとする権威主義の権化のような人も大勢いて、ブログ主の主要な批判対象は後者のような「輩」と推察しますが(後略)

 

 いや本当にその通りで、私も「青天の霹靂」の人事をやられたことがあります。井戸まさえさんはそれを衆人環視の国政選挙でやられたわけで、それにも関わらず、次の政党執行部になったらいっこうに選挙区の総支部長に再任されないまま、今回結果的には立民公認候補の当選可能性も少なからずあり得る選挙に立候補できなかったわけです。

 そのことに思いを致すこともできず、かつてあれだけ井戸さんに同情していた人も、井戸さんよりも立民現執行部というか党代表を守るために(だろうと推測していますが)沈黙してしまいました。こういう状況が許せないわけです。

 先日、さるブログのコメント欄で、いやはっきり書いた方が良いですね、宮武嶺さんのブログのコメント欄で、最近のKojitaken氏はすっかり政局だけの人になったとかなんとか書かれていたのを見てブンむくれていたのですが、伝わる人には伝わるものですね。やはりXなんぞにかまけてないでブログを続けていて良かったと心から思います。

 コメント、どうもありがとうございました。

乙武氏対応、自公国定まらず 裏金・女性問題が影響―東京15区(時事通信)

 衆院3補選の告示が6日後に迫っているが、小池百合子に向けた文春砲が発砲されたり、民民から出馬予定を取り消された高橋茉莉氏が乙武洋匡の応援を公言したりと(これはおそらく民民執行部への嫌がらせだろう)、立民の玄葉光一郎野田佳彦待望論を日経系のネットラジオ番組で語ったりと、政局はますます混迷してきた。

 

www.nikkei.com

 

 これ(玄葉による野ダメ待望論)などは、立民右派からの「ポスト泉」の動きの一環とも解釈し得るのではないか。実際、自民党総裁選よりもあとに設定されていた立民代表選を前倒しで行おうとの動きも出ているらしい。自民党総裁泉で新総裁を選出するや否や衆議院を解散するという、3年前の(自民党にとっての)成功に味を占めた自民党がまたやらかしかねないというのは、誰にでも想像できることだからだ。そんな時に泉健太で大丈夫とは誰もが思うことだろう。島根1区も東京15区も共産党が候補を下ろして立民候補を支援する形になったが、これは右側が「立憲共産党」と呼ぶ形であって、2021年の代表選で選ばれた泉がそれから脱却しようとして結局できなかったことを意味する。結局「提案型野党」路線も維新へのすり寄りもうまくいかなかった。立民の政党支持率は今も伸び悩んでいる。これで党内政局にならない方が不思議だ。

 ちなみに、岸田文雄(というか岸田を操っていた故安倍晋三)を就任直後の解散をやった13年前に同じことをやろうとしていたのが麻生太郎だった。しかし麻生は森喜朗らによって手足を縛られ、解散に踏み切れなかった。その結果、2009年衆院選で記録的大惨敗を喫して下野に追い込まれた。その轍は絶対に踏みたくないだろうから、もし9月の総裁選で自民党総裁が代わるのであれば新総裁は岸田と同様即時解散するだろう。今の政局だとこの可能性が一番高く、次いで高いのがそれに追い込まれる前の6月に岸田が解散することだ。4月解散はもうほとんど時間がないので事実上消えたとみて良いだろう。

 このどちらの場合でも補選に当選した議員の任期は2か月または5か月になるから、小池百合子にせよ江東区の前々区長のドラ息子である「漢字もろくに読めない」らしい極右の山崎某も、乙武が悪評紛々だからといって出馬などしないだろう。両者とも、本選に出て勝てば良い、とでも思っているのではないか。特に岸田が6月解散を仕掛けてきた場合が問題で、この場合には小池百合子が本当に東京15区から出馬する可能性がある。区民の私としては想像したくもない恐ろしい話だけれども。

 立民の話に戻ると、党内政局の動きがリベラル派からではなく右派から出てきつつあることに注目されたい。というのは、民主・民進においては少なくとも政権交代後はずっとこの流れからだからだ。小沢一郎にしても、信者には左側が多かったが小沢自身はまぎれもない右派だし、その後の前原誠司だの長島昭久だの細野豪志だの馬淵澄夫だの、それに小物だったかもしれないけれども江東区柿沢未途だの、民主・民進で政局的な動きをなしたのは全員極右を含む右派だった。たとえば西村智奈美のようなリベラル派は何もしていないし、それどころか西村氏は執行部にいる。妄動をなすのは常に右翼か新自由主義者であり、その最大にして最悪の例があの「希望の党」騒動だった。今朝も記事を書く前にコメント欄を見たら、いつもの右翼が何やら戯言を書いていたが、実際に純化に動こうとするのは常に右派である(「排除」という小池百合子の名言を思い出せ!)という観点が完全に欠落している。

 今日は時事通信の政局記事を挙げておく。

 

news.yahoo.co.jp

 

乙武氏対応、自公国定まらず 裏金・女性問題が影響―東京15区

時事通信 政治部 2024年04月10日07時06分配信

 

 衆院東京15区補欠選挙(16日告示、28日投開票)を巡り、自民、公明、国民民主3党の方針が定まっていない。いずれも、東京都の小池百合子知事に近い政治団体「ファーストの会」副代表を務め、無所属で出馬する作家の乙武洋匡氏の推薦や支援を検討。しかし、自民派閥の裏金事件や、乙武氏の過去の女性問題が影響し、結論を出せずにいる。

 

 乙武氏の扱いについて、自民の小渕優子選対委員長は9日の党役員連絡会で「都連とも連携しつつ調整を進めたい」と述べるにとどめた。

 

 自民は、東京補選で独自候補の擁立を断念。小池氏と共同歩調を取り、事実上の「勝利」を目指す戦略を描いていた。ただ、乙武氏は8日夜、自身のX(旧ツイッター)に「現時点で自民に推薦依頼は出してないし、予定もない」と投稿。告示まで1週間と迫る中、先行きは見通せない。

 

 4月の衆院3補選を巡り、自民は長崎3区でも独自候補の擁立を見送り、島根1区は苦戦が伝えられる。党中堅は「乙武氏に推薦を出せなければ補選は0勝になる」と嘆いた。

 

 国民は、小池氏と旧希望の党以来のつながりを持つ。当初は乙武氏の推薦に前向きだったが、自民が推薦の動きを見せると態度を一変。背景には、裏金事件への世論の厳しい批判を踏まえた判断がある。玉木雄一郎代表は9日の記者会見で「自民との相乗りは想定できない」と明言した。

 

 一方、小池氏と都政で良好な関係を築く公明も対応に苦慮。女性問題に厳しい党の支持母体、創価学会の女性部を中心に、乙武氏の推薦には反発が強いという。山口那津男代表は9日の会見で「(乙武氏は)公明に推薦を求めてきていない」と慎重姿勢を崩さなかった。

 

 3党とも小池氏の本音が読めず、主導権を握られている。自民幹部は「小池氏に『推薦の準備を』と言われたから待っている」と困惑。国民幹部も「小池氏が整理してくれているのか分からない」と語った。

 

時事通信より)

 

URL: https://www.jiji.com/jc/article?k=2024040900939&g=pol

 

 この記事を読むと、自民党中央(小渕優子)はもはや都連をグリップする力を失いつつあるようだ。少し前に都連が東京15区の候補を公募にしようとした時、それを差し止めたのがこのドリルで悪名高い小渕だった。

 そして、自民、公明、民民の3党とも小池に振り回されている。いい気味だ。あんな毒饅頭に手を出すからこんなことになる。このうち民民(玉木雄一郎)は二度目だろう。バッカじゃなかろかルンバ♪

 歴史は繰り返す。二度目は何としてだったっけかね。

乙武氏が立候補を表明 共産は候補取り下げ 衆院東京15区補選(朝日)

 昨日(4/8)、衆院東京15区補選に関して乙武洋匡の出馬表明と共産党・小堤東候補の立候補予定取り下げが発表された。以下朝日新聞デジタルの無料記事より。

 

www.asahi.com

 

 以下引用する。

 

乙武氏が立候補を表明 共産は候補取り下げ 衆院東京15区補選

中村英一郎 小林圭 2024年4月8日 20時45分

 

 衆院東京15区補欠選挙(16日告示、28日投開票)をめぐり、作家の乙武洋匡氏(48)が8日、記者会見し、無所属での立候補を表明した。一方、共産党立憲民主党の元東京都江東区議、酒井菜摘氏(37)を支援すると発表。公認候補を取り下げて一本化する。

 

 乙武氏をめぐっては、地域政党都民ファーストの会」の特別顧問を務める小池百合子東京都知事がすでに擁立方針を表明していた。乙武氏はこの日、「政治に希望が失われた状態をリセットしたい」と述べ、都民ファ側に推薦を依頼する考えを示した。また、自民も推薦の方針を明らかにしており、公明は支援が可能かを検討している。

 

 対する野党は、共産が党地区委員長の小堤東氏(34)の擁立取り下げを決めた。東京15区と同日に投開票される島根1区と長崎3区を含む三つの衆院補選で、共産が立憲の候補者を支援する「共闘」が成立した。小池晃書記局長は8日の会見で、「次期衆院選での共闘につながるような戦いをやっていきたい」と話した。

 

 同補選では、維新の金沢結衣氏(33)、参政の吉川里奈氏(36)、諸派の飯山陽氏(48)、諸派の根本良輔氏(29)、同区選出の元自民議員で無所属の秋元司氏(52)、参院議員で無所属の須藤元気氏(46)も立候補を表明している。(中村英一郎、小林圭)

 

URL: https://www.asahi.com/articles/ASS483GLTS48OXIE00XM.html

 

 乙武の出馬表明には「なんだ、まだやってなかったのか」と思った。一方、共産の小堤東氏出馬予定取り下げは、朝日の有料記事などは早い時期から候補者取り下げが共産党の既定の方針であるかのように書いていたし、同じ朝日に立民の誰か(実名は書かれていなかったと思う)が発した先走り気味のコメントも載っていたので、これは九分九厘取り下げるんだろうなと思っていた。

 小堤氏の出馬予定取り下げは2021年衆院選に続いて二度目だ。

 江東区民として私が街角で観察した限りでは、衆院選に向けての小堤氏の活動開始時期は維新の金沢結衣と同じ頃ではなかったかと思う。ああ、共産も維新も次の選挙では若い人を立ててくるんだなあと思ったものだ。まだコロナ禍になる前の2019年か、もしかしたらその前年の2018年からだったかもしれない。

 前回の衆院選では「希望の党」騒動で希望の党に移ったものの国民民主党には入らず無所属になった柿沢未途が、地元自民党の東京15区支部だか江東総支部だか知らないが(私は一貫して強い反自民・反維新・反小池なので自民党の組織についてなど知りたくもない)、極右色の強い地元の自民党の連中が推した今村洋史と競合する形で2人とも自民党の推薦を受け、勝った方が自民党衆院議員になる選挙になった。

 2017年衆院選では、旧立民は希望の党の候補には刺客を立てなかった。私は当地に越してきてから三度の衆院選(2012年、14年、17年)で選挙区ではいずれも共産党の吉田年男候補に投票してきたが、決して彼を積極的に支持していたわけではなく、それどころか前に住んでいた香川1区の共産党候補と比較しても(申し訳ないが)冴えない人だよなあと思っていたが、消去法では彼を選ぶしかなかったので*1)若い小堤氏にはそれなりに期待したものだ。もちろん維新の金沢結衣とは立場が相容れない。

 だから、共産と立民との取引によって小堤氏が降りて急遽東京4区から井戸まさえ氏がやってくると知った時には怒りの記事を弊ブログに公開したものだ(下記リンク)。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 しかしその後井戸まさえ氏*2が良い候補だということを、弊ブログコメント欄常連のid:suterakusoさんに教えていただいて、その9日後には下記記事を公開した。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 上記記事で私は、東京4区と東京15区のどちらを立民、どちらを共産の選挙区にするかの取引で、自民党陣営が柿沢と今村とに分裂したために好機が生まれた立民が15区を強硬に要求したに違いないと推測していた。しかしその後、共産が東京4区を強硬に要求したとの情報も聞いた。真相は藪の中だが、あの選挙では井戸まさえ氏が国替えを、小堤東氏が立候補の取り下げをそれぞれ余儀なくされた。そして今回の補選に至るまでのプロセスで、井戸氏は泉健太支持者のnaoko氏の1年3か月前の願いもむなしく東京15区の総支部長に再任されないまま*3酒井菜摘氏の擁立が決まり、小堤氏は再度の立候補取り下げを余儀なくされた。いずれにせよ、立民(枝野前執行部)と共産(志位前執行部)の恣意的な人事権行使に、立民・井戸氏、共産・小堤氏という候補予定者2人が強い痛みを強いられたわけだ。このことについて、両党の支持者たちは真剣に思いを致すべきだ。それは立民が泉、共産が田村になった現執行部についてもいえる。

 今回の補選については、後述の通り乙武洋匡の出馬表明が予想外にしょぼいものであったらしいことからも、この選挙は酒井菜摘陣営にとっては負けられない戦いになった。少し前にも書いた通り、3補選は全勝でない限り泉健太の責任が問われて当然というか、一つでも落としたら泉を更迭すべきだと私は考えている。

 この件に関しては立民愛知10区の藤原規眞氏の下記Xが印象に残った。

 

 

 そして私は、選挙区調整の前には2021年衆院選に投票しようと思っていた小堤氏に加えて、ついに総支部長に再任されないまま次の総支部長が決まって立候補することになった井戸氏の無念をも思わずにはいられない。真偽のほどはさだかではないが、立民の内部調査によると、東京では自民党の党勢の低下が特に著しく、現時点で衆院選が行われれば立民の候補が自民党候補に負ける選挙区は1つしかないとのことだ。だから、仮に候補者が酒井氏ではなく井戸氏であっても、本選で出てくるのは(想定したくはないが)乙武だか山崎一輝だかその他の誰だかは知らないが、与党候補相手に勝てるはずだとの計算が成り立つからである。

 候補者選定のプロセスの透明化は、何も与党だけに限らない。どの政党にとっても大きな課題なのであって、各党の支持者たちは党執行部や地元の党組織に対して無批判であってはならないと強く思う次第。

 話題を変えて相手方の話だが、乙武の出馬表明に関するnks氏のXの連続ポストを以下にリンクする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いやはや実に無惨である。

 これだと、逆に現時点では埋没気味だという維新の金沢結衣が巻き返してしまうのではないかと心配になってくるレベルだ。

 

 

 こういうXも見た。

 

 

 昨年12月の区長選の情勢調査で立民支持層が酒井氏に投票すると超えたはわずか4割で、共産支持層の7割を大きく下回っていたという。

 でもそれって、2022年参院選で前年の衆院選と比べて江東区での立民比例票が38%も流出してしまったことと関係があるかもしれないと思った。つまりまともなリベラル層が右派新自由主義的な泉健太執行部を見限って立民支持を止めていたから、残った保守層中心の支持者たちの4割しか酒井氏に投票しようとは思わなかった、そういうことなのではなかろうか。

 やはり選挙結果に関わらず、泉は下ろした方が良いのではないかと改めて思った(しつこいか)。

*1:何しろオスプレイを絶賛した右翼系兼公明党系にして小沢一郎一派の東祥三だの、その東の刺客に立った「森を伐採し損ねた」田中美絵子だの、ともにのちに逮捕された秋元司や柿沢未途だの、以前からろくな候補がいない選挙区だった。私はその中でも柿沢未途を特に激しく嫌っていて、某所によく「富岡八幡宮の豆まきに行って柿沢に豆をぶつけてやりたい」などと書いたものだ。

*2:井戸氏の名前の表記は、ある時期から井戸氏の意向を尊重して平仮名にしているが、当初は漢字で表記していた。

*3:最終的な責任が泉健太長妻昭手塚仁雄の誰に帰されるべきか私は知らないが、少なくとも泉の責任がないとはとうてい言えないだろう。

候補者は有権者が選ぶ前にすでに、その少なからずは政党組織の「ブラックボックス」の中で選ばれている。この「ブラックボックス」に焦点を当てなければ、良質な政治は担保されない。(井戸まさえ氏)

 先日、宮武嶺さんのブログに衆院東京15区補選を大きく取り上げていただいたことには大いに感激した。

 

blog.goo.ne.jp

 

 だが、当然のことながら記事にはコメントがほとんどつかない*1。これは政治ブログを長年やっている私から見れば当然のことで、特定の選挙区の記事は、2021年衆院選の東京8区のような例を除いて、注目度はどうしても低くなる。しかも今回は3補選そのものへの関心が低い。いや補選どころか、6月、あるいはもしかしたら今月中に衆議院の解散が行われるかもしれないとの政局に関する人々の関心もいたって低い。2021年衆院選に出馬して私も投票した井戸まさえ氏が書く通りである。

 

 

 以下、上記ポストの全文を引用する。

 

この4月28日に投開票が行われる3つの補選が話題だ。

 

岸田政権の支持率は最低、解散は4月にも、いや6月だとか言われてるが、社会に熱気はない。

 

これまで私は、2017年のいわゆる「希望の党騒動」に焦点を合わせた『ドキュメント 候補者たちの闘争――選挙とカネと政党』(岩波書店)で、「候補者は有権者が選ぶ前にすでに、(その少なからずは政党組織の「ブラックボックス」の中で)選ばれている」ということを書いた。

 

この「ブラックボックス」に焦点を当てなければ、良質な政治は担保されない。

 

その問題意識は、2021年の総選挙を経た現在でも変わっていない。むしろ危機感は高まっている。 編集者が付けた副題「選挙とカネと政党」が、予言のように迫ってくる。

ただ、有権者が受け取れる情報はメディアを通じてのものがほとんど、もしくは候補者側からの一方的な発信で、必ずしも実相を表しているとは限らない。

 

今回の3補選を前に、私が体験した21年の選挙をめぐる『候補者たちの闘争(その後)』の一部を共有したい。みなさんに臨界点を迎えている日本政治、与野党共に巣くう宿痾を共に考えていただけたらと思う。

 

以下、随時更新

目次

東京15区編(1)「選挙区は言えない」

東京15区編(2) この人が相手候補の会計責任者?

東京15区編(3) 公認するのは「政治の世界でしか生きられない人」

東京15区編(4) 黙殺

東京15区編(5) 選挙における「哀れなるものたち」

続く・・

 

URL: https://twitter.com/idomasae/status/1775857184070615050

 

 上記Xの末尾に予告された連載は絶対に見逃せないと思った私は、これまで「渇しても盗泉の水は飲まず」と称して自らに禁じてきたXのアカウントの開設に踏み切った。但し、リードオンリーに徹して自らの発信もしないし誰のフォローもしないという制約を自身に課す条件つきで。多くのブロガーがTwitter(当時)にかまけて発信者として埋没していった実例を山ほど見ているからだ。

 Xアカウントの開設は昨日(4/7)である。最初はXのアカウントを開設したことを隠しておこうかとも思ったが、じきにブログ記事に不自然さが現れるに違いないから、白状するなら早い方が良いと思って開設翌日の今日白状することにした。つまり、私はとうとう「盗泉の水を飲んでしまった」わけだ。

 ところで私が非常に残念に思うのは、とうとう立憲民主党東京15区総支部長に再任してもらえなかった井戸氏 vs. 同党の都連ないし執行部という、権力を行使される側 対 権力を行使する側の構造に関して、前者、つまり井戸氏の側に立とうとする人がほとんどいないことだ。大多数の人間が政党の側、つまり権力の側に立って意見を発信している。

 かつてあれほど井戸氏に同情していた泉健太支持者のnaoko氏にしても、最近は井戸氏のXを黙殺しているとしか思えない。

 それどころか、立民支持者の中には「裏で新選組と握った」手塚仁雄を礼賛する人間までいた。

 

 

 何が「手塚さんみたいに搦手が使える人が立憲にも必要だよな」だ。吐き気がする。

 この件に関しては軍畑先輩が正しい。

 

 

 「毎度毎度の下町軽視」は立民と新選組に共通して見られる悪しき特徴だ。そして下町で強いのが公明と共産である。

 立民が「須藤元気擁立しかけた」件についていえば、私には明らかに立民の都連及び執行部が自ら酒井菜摘候補予定者に一定のダメージを与えたとしか思えない(怒)。

 

 

 私はこの件でようやく「野党共闘」に歩み寄りを見せたかに見える山本太郎に一定の評価を与えたが、手塚に対する嫌悪感は増す一方だ。

 

 

 その新選組の構成員といえるかまでは知らないが、少なくとも新選組系の人であるさとうしゅういち氏のブログに、2021年の参院広島再選挙について書かれた記事が公開されたので以下に紹介する。これも政党対候補者という権力の対立構造に関するものだ。

 

hiroseto.exblog.jp

 

 以下引用する。

 

#楾大樹 先生の「問題作」=「#茶番選挙 仁義なき候補者選考」を購入し、拝読しております。あけび書房 1320円(1200円+税)。

 

#さとうしゅういち 自身も当事者となった #参院選広島再選挙 。この選挙で、当初は野党第一党から声が掛かっていた #楾大樹 先生が、候補者選考で繰り広げられた有権者不在の茶番を暴露しています。
わたし自身もこの選挙に際して、とある野党第一党党員から「選挙に出るなら縁を切る。俺の地域に二度と出入りするな!!」などとまるで戦国大名か何かのような罵詈雑言のお電話をいただきました。

 

しかし、その方のご自宅がある地区が選挙後に大洪水になった際、わたしはボランティアに伺いました。その方はバツの悪そうな顔をしておられました。


また、この選挙において、野党第一党候補の方に対してわたしは、ギリギリまで1本化を模索はしていました。

 

その条件として「伊方原発即時廃炉」含む「即時原発ゼロ」を同候補側に提示。しかし、同候補陣営幹部の

野党第一党地方議員は「候補者は具体的な政策がわかる人じゃないから」との返答。自分たちでバカにしている人

を候補に担ぐ。これこそ、女性蔑視も良いところです。

 

それはともかく、自公の国政与党だけでなく、野党第一党も「県民の手に政治を取り戻す」庶民革命において、「県民により政治を取り戻される」対象物であるということだと思います。


民主的な候補者選び、予備選なり候補者同士の公開討論会など、オープンな選挙にしていかないと、政治は一部の「えらい人」のもののままです。


もう一つ疑問は日本最古の左派野党が、簡単に野党第一党候補に乗ってしまったこと。結局、同党も庶民の味方と言いながら実際には一部幹部の意向で政党本来の政策とかけ離れた人を推す。そのことが現在、同党内部での不満の増大につながっているのではないか、と外部からですが心配する次第です。

 

(『広島瀬戸内新聞ニュース』2024年4月7日)

 

URL: https://hiroseto.exblog.jp/30886153/

 

 2021年当時にはさとう氏は共産党に近い無所属の政治家だったが、その後地元の共産党の政治家から圧力を受ける等の件があって新選組系の人になった経緯があると私は認識している。

 上記記事に留保をつけるとすると、極端な党首独裁政党である新選組もまた、自公や立民・共産などと同様に「庶民により政治を取り戻される」対象物だとしか私には思えないことだ。

 しかしながら、「人事権を行使する権力である政党 対 人事権を行使される候補者」の対立構図において、候補者の側に立つというのは絶対に欠かせない視点だ。そのことは強調したい。

 そして、そのような視点を持った人たちが各党支持者にほとんどいないことは、本当に大きな問題だ。

 この国の人々は、あまりにも(身近な=つまり自らが支持する)権力に従順でありすぎるのではないか。言い換えれば、あまりにも権威主義が強すぎるのではないか。

 この状態からいかに脱却するかが、現在のような大きな変革の時代に生きる人々にとっての最大の課題の一つだ。私はそのように信じて疑わない。

*1:当該記事のコメント欄についても言いたいことがあるが、それは本記事には盛り込めなかった。機会というか時間があれば改めて書きたい。

朝日新聞・今野忍記者曰く「これだけ条件恵まれて負けたら、泉健太(立憲民主党代表)が更迭されるかもしれないね」(衆院島根1区補選について)

 「選挙ドットコム」は普段はほとんど見に行かないのだが、28日の衆院補選について何を言っているのかと思って見に行ってみた。

 

go2senkyo.com

 

 下記は上記選挙ドットコムに書かれている内容の要約ではなく、上記記事に書かれた情報を加味しての私が持った心証。

 東京15区のほか、というよりそれに先立って島根1区と長崎3区の補選が決まっていたのだが、島根1区という本来なら自民党が負けるはずがない選挙区で細田博之が死んだために実施される補選は、戦前から立民の亀井亜紀子が圧倒的にリードしていると言われている。自民党支持の崩壊はそこまできているのだが、これには亀井亜紀子の父親が自民党に属していた亀井久興だったため、保守票を奪い易い条件もあるらしい。また共産党が候補者を下ろしたことも選挙に影響するだろう。但し投票日は3週間後なので結果がどうなるかはまだわからない。

 また長崎3区は既に自民の不戦敗が決まっているが、ここは立民と維新の戦いになる。2021年衆院選では立民と維新とがほぼ互角だった東京15区(それどころか2022年参院選では江東区での維新の比例区得票は立民のおよそ1.5倍もあった)とは全く異なり、立民が維新を圧倒していた。ただ補選では自民票が立民よりも維新に多く乗ると思われるので結果がどうなるかは知らない。

 問題の東京15区については、選挙ドットコムの記事から以下に引用する。

 

今野氏「選挙ドットコムコメンテーターの乙武さんの名前も出てますね。見てくれてるのかなあこれ」

 

乙武氏は、3月29日に出馬が明らかになりました

 

今野氏は、今回の東京15区は島根1区と逆パターンだ、と解説。野党候補がたくさん出ているので自公都民ファで固まることで勝算が出てくると、自民党都民ファーストの候補に相乗りする可能性が高いと読み解きます。

 

そしてその都民ファーストからは小池都知事自身が出馬する話もありますが、小池氏本人でなく、近い人か、乙武氏のような人を擁立するという可能性が高いと締めくくりました。

 

ところで、この東京15区では、立憲民主党も明確に候補者名が出ていません。独自候補として元江東区議の酒井菜摘氏を擁立する声と、元立憲民主党で現在は無所属の須藤元気氏の名前も聞こえてきます。

 

今野氏「立憲の執行部の中でも、独自候補を立てたいという声もあるけれど、票を割ることになるから。須藤さんが出てきたら、須藤さんにのって、まず自民に勝とうとする意見が多かったですね。私の取材では」

 

編集部注※須藤元気氏は4月3日に出馬を表明しました

 

(選挙ドットコムより)

 

URL: https://go2senkyo.com/articles/2024/04/04/93288.html

 

 今野氏とは朝日新聞政治部の今野忍記者。それよりも、乙武洋匡が選挙ドットコムのコメンテーターをやっていたとは知らなかった。

 問題は、今野氏のコメントにある「立憲(弊ブログの略称は立民)の執行部の中でも(略)須藤(敬称略)が出てきたら、須藤にのって、まず自民に勝とうとする意見が多かった」という言葉だ。これは看過できない。

 つまり立民執行部の間では、酒井菜摘の擁立よりも、無所属で立つ須藤に乗っかろうという声の方が強かったということだ。

 それが急転直下酒井氏の擁立に決まった理由は何か。可能は推測はあるけれどもここには書かない。問題は、無所属の須藤に乗っかろうとする意見が立民執行部内に多かったらしい経緯だ。つまり立民は酒井氏の公認内定に至る過程で一枚岩ではなかったということだ。

 残念ながら、そんなことでこの補選を勝利に持っていけるかどうかははなはだ心許ないとしか言いようがない。

 現に須藤元気の無所属出馬を許した。私は立民の都連あるいは執行部が須藤が出てこない目処でも立てたのかと思っていたが甘かった。そもそも直前まで須藤に乗っかるか酒井氏で行くかで意見が分かれていた(今野記者によると須藤に乗っかろうとする意見の方が多かったらしい)のだから、自分はその程度には強いのかと思って須藤が立候補したのも無理はない。立民執行部の無能さには呆れるばかりだ。

 そもそも、今回急遽酒井氏を総支部長に任命するまで、長く東京15区総支部長を空位にしたことが間違っていた。泉健太は2021年の立民代表選で総支部長の早期任命を公約していたそうだから、泉がその公約を守らなかったということだ。

 以下に選挙ドットコムの記事の末尾から引用する。

 

最後に、ゲストのお二人の補選の予想は?

 

今野氏は、「島根で自民党が勝つか負けるかが、岸田政権と今後の自民党の命運を握る」と宣言します。

 

今野氏「島根はもともとの保守王国で立憲民主党とのガチンコ勝負。今後の衆院選をにらんでも、自民党がどれだけ地方で地力があるのか、ガチのけんかをするのが島根1区。東京15区は都民ファと相乗りだから判定しづらい」

 

水内氏は、もう少し自民党に厳しい見方を示します。

 

水内氏「島根は肌感覚でいうと自民党のビハインドが大きすぎちゃって、なかなか背中に追いつくのが難しいんじゃないかなという感覚。島根は負けてしまって、東京15区で形だけでも取りつくろって、次に少しつなげたいというような感じなんじゃないかな」

 

今野氏「これだけ条件恵まれて負けたら、泉健太立憲民主党代表)が更迭されるかもしれないね」

 

最後に、東京15区にお住まいの今野氏は「家族で合わせたら組織票で3票くらいある(笑)家族会議でゆっくり岸田政権の行方を決めますよ」と締めくくりました。

 

(選挙ドットコムより)

 

URL: https://go2senkyo.com/articles/2024/04/04/93288.html

 

 水内氏というのは産経新聞の水内重幸記者。朝日の今野記者ともども、東京15区は都ファの候補(結局乙武に決まった)に自民が乗っかって勝つだろうがそれは都ファ小池百合子)の力であって自民の勝利とは言い難く、問題は島根1区だとみているようだ。

 そして朝日の今野記者が「これだけ条件恵まれて負けたら、泉健太が更迭されるかもしれない」と言っているのは島根1区補選を指しているのだろうが、私はもっと泉に厳しく「3戦全勝しない限り泉は更迭」で良いと思う。

 というのも、自民党公党総支部の声などを聞く限り、極右色の強い同支部も、下手に乙武に勝たれるくらいなら酒井氏か維新の金沢結衣に当選してもらった方がマシだと考えている可能性があるからだ。つまり自民党の江東総支部もまたこの補選には本気で臨まない可能性が高い。なぜなら乙武が当選してしまったら次の選挙でもファ◻︎ストの会か自民党かどちらの所属になるかは知らないけれども乙武が東京15区の候補になる可能性が高く、その場合は前職としての立候補になるから今回よりももっと強いに決まっているからだ。前回衆院選では柿沢未途がまんまとその座を奪ったが、その報復として山崎一輝らが柿沢を衆院選に当選した現職の衆院議員であるにもかかわらずなかなか支部長に就任させなかった。自民党東京都連の会長は安倍派極右の萩生田光一だから萩生田も山崎を後押しした。それで自民党内でどうしても主導権を握りたかった柿沢が昨年4月の区長選でやらかしたのが区長選での買収劇だったのだ。敵側にもこういうややこしい事情がある。

 この腐敗し切った江東区自民党支配に終止符を打つためには、立民は何が何でも酒井氏を当選させなければならない。

 そもそも、東京15区や新選組に譲ることが決まった14区などの東京東部の下町の選挙区において、これらの地域においては立民の得票力が低いためだろうが、立民執行部があまりにも冷たかったために現状を招いたのである。だから今回の補選では、島根1区や長崎3区のみならず、東京15区でも勝てなければ、つまり補選に全勝できなければ、泉健太は立民代表を退くべきだ。

井戸まさえ氏「『候補者たちの闘争〜After 2021』オンライン公開版(抜粋)」のXのポストが始まった

 ついに井戸まさえ氏のXで2021年衆院選での転区の件が語られ始めたようだ。Xのアカウントを持っていない私がどこまで読めるかはわからない。

 

 

 埋め込みリンクの画面では最初の部分しか見えないようなので、以下に引用する。

 

『候補者たちの闘争〜After 2021』オンライン公開版(抜粋)

 

東京15区編(1)「選挙区は言えない」

 

「選挙区は言えないが、転区してもらいたい」

党地方組織の幹部から突然の電話が来たのは、任期満了での総選挙も迫る2021年10月に入ってすぐのことだった。

「選挙区を明かさず、転区をしろ」とはいかにも乱暴な話だ。一般有権者から見たら「いやいや、そんな話はあるわけがない。作り話だろう」と言われても仕方ないレベルである。 当然だが、私は即座に「お断りします」と答えた。すると、相手は「いい話なのに、後悔しますよ」と言って、私が次の言葉を言う前に電話を切った。

 

世の中に溢れる「いい話」というのは、大抵の場合、持ちかけた方にとって「都合がいい話」だ。

実は、この日以前にもたびたび他の区への転区や、都議会議員へ転出等々「いい話」を持ちかけられていたので、私はある意味慣れっこにもなっていた。どんな形であっても東京4区から私を移動させることで、いわゆる「野党共闘」が前進する、というのが向こうの言い分だった。そして、それは共闘相手の強い希望だとも聞かされていた。

 

それから数日後、また電話があった。

「再度、転区を考えてもらえませんか。選挙区を教えます。どこだと思いますか?」

前回とは打って変わって、ていねいな言い回しだった。 選挙区は全く思い浮かばなかった。何しろ選挙は目前に迫っていて、空いているところなどあるはずがないのである。それでも当てずっぽうで言ってみたが、口にした選挙区がどこだったか覚えていない。

 

「違いますね。15区」。伝えられたところは、意外な場所だった。

「柿沢(未途)のところ・・。柿沢は首班指名で岸田と書くとなったから、15区には野党でまとまれる人がいなくなる」

柿沢未途・・。多くの人が柿沢=自民党と思っているかもしれないが、2001年に東京都議会議員に初当選して以来、民主党みんなの党と、一貫して野党で活動してきた人物だ。私自身、地方議員の時には同じ党の議員として面識もあり、柿沢の秘書経験者は旧民主党系の議員事務所にもいる。党には所属していないものの、会派は一緒。この時点まで、むしろ誰もが仲間だと思っていたのではないか。

 

「井戸さんさえ動いてくれたら、共闘相手は複数の選挙区で候補者を下げると言っている。8区も同じ。4区と8区が動けばうまく行く。8区はそれを了承してくれた。あとは、井戸さんだけ」

8区がその時点で納得していなかったことは、のちに候補者本人からの電話で知る。

 

衆院選の公示は19日、約2週間後に迫っていた。

 

URL: https://twitter.com/idomasae/status/1776437391559102931

 

 いやはや、実にえげつない話。

 2000年1月に経験した私自身の人事がひっくり返された件を思い出した。あれは帰任日の3日前か何かで、荷物を送り返そうとしていたまさにそのタイミングで差し止めがかかったのだった。それは、決まっていた人事をひっくり返す話だった。人事権を持っている人間にはそれが可能なのだ。権力の要諦の一つがそこにある。

 期限の直前にいろいろと、それも本人にとっては全く歓迎できない人事を突然やられるというのは非常にこたえるものだ。

 井戸氏はそれを、よりにもよって全国の人々が注目し、自らも(棄権をしなければ)選挙権を行使する衆院選を直前にしたタイミングでやられたわけだ。

 しかも何だって?「8区はそれを了承してくれた」って?

 電話の主が手塚仁雄本人か代理の誰かかは知らないが、めちゃくちゃな話だよな。

 いうまでもなく4区は共産党の強い希望を立民の井戸氏が受け入れて転区が行われ、8区は新選組山本太郎)の強い希望を立民の吉田晴美氏が受け入れなかったために転区は実現しなかった。しかし電話の主は「8区はそれを了承してくれた」と嘘をついた。とんでもない話である。

 井戸氏の転区の件で、昨年1月の時点では井戸氏に深く同情しているように見えたさる泉健太支持者は、最近のXでは井戸氏のことに触れようともしないようだが、政党の支持者がそのように組織防衛のことしか考えないあり方なのは、果たして人間としてそれで良いのだろうか。

 非常に強い疑問を感じる。